文献詳細
特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005
2. 皮膚疾患の病態
SpongiosisとTh1/Th2バランス
著者: 小林順一1 古江増隆2
所属機関: 1新日鐵八幡記念病院皮膚科 2九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
ページ範囲:P.39 - P.43
文献概要
アトピー性皮膚炎において,急性期病変ではTh2優位,慢性期病変ではTh1優位となり,ステージによるTh1/Th2バランスのシフトが知られている.われわれは培養ケラチノサイトにIFN-γ(Th1)とIL-4(Th2)を加えて培養し,電気抵抗値(TER)とデキストラン粒子の透過量(Flux assay)を測定して培養ケラチノサイトシートの透過性を検討した.結果,IFN-γは経ケラチノサイト物質透過を抑制し,IL-4は物質透過を亢進した.さらに,IFN-γはケラチノサイトのE-カドヘリンとデスモグレイン3の細胞膜への移行を促進して表皮細胞の接合を強固にし,逆にIL-4によって接合が減弱することが示された.すなわち,Th1/Th2バランスのシフトによってケラチノサイトの細胞間接合の強さが相反して調節され,水分や血漿蛋白の体内から表皮内への移行が制御されている可能性が示された.
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