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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻5号

2005年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005 2. 皮膚疾患の病態

アトピー性皮膚炎に抗真菌薬が奏効するもう1つの理由

著者: 神田奈緒子1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.49 - P.53

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要約

 アトピー性皮膚炎患者の治療に抗真菌薬が有効であることが報告されている.アトピー性皮膚炎患者T細胞のTh1,Th2サイトカイン産生に対する抗真菌薬の作用を検討した.抗CD3,CD28抗体で刺激したT細胞のIL-4,IL-5の放出量は,アトピー性皮膚炎患者では健常者より高かった.ケトコナゾール,テルビナフィン,トルナフタートはT細胞のIL-4,IL-5の放出を抑制したが,IFN-γ,IL-2の放出は抑制しなかった.ケトコナゾールはテルビナフィン,トルナフタートより強力な抑制作用を示した.cAMPアナログは抗真菌薬のIL-4,IL-5産生抑制作用を解除した.抗真菌薬は,抗CD3,CD28抗体刺激によるT細胞内cAMPシグナルを抑制した.ケトコナゾールはcAMPを産生するadenylate cyclaseを抑制し,テルビナフィン,トルナフタートはcAMPを分解するcyclic nucleotide phosphodiesteraseを増強した.抗真菌薬はcAMPシグナルの抑制を介してT細胞のIL-4,IL-5産生を抑制し,アトピー性皮膚炎患者のTh2偏位を是正すると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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