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特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005 2. 皮膚疾患の病態
遺伝性対側性色素異常症の病因遺伝子の発見とその病態について
著者: 鈴木教之1 鈴木民夫1 河野通浩1 富田靖1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学分野
ページ範囲:P.54 - P.59
文献購入ページに移動遺伝性対側性色素異常症(dyschromatosis symmetrica hereditaria;DSH)は,四肢末端,特に手背・足背に濃淡さまざまな色素斑と脱色素斑が密に混在する像を特徴とし,常染色体優性遺伝の疾患である.われわれは2003年,このDSHの病因遺伝子をADAR1 (double-stranded RNA specific adenosine deaminase;DSRAD)遺伝子であると,世界に先駆けて同定した.つまり,本疾患の4家系(患者51名,非患者55名)の協力により,原因遺伝子をchr. 1q21. 3にマッピングし,haplotype解析と新規SNPを利用して約500kbの間にまで範囲を狭め,その中に存在する9つの遺伝子のmutation screeningを行った.その結果,本疾患の病因遺伝子がADAR1遺伝子であることを解明した.さらに,新たに16名のDSH患者について,ADAR1遺伝子の新規変異を同定した.また,遺伝性汎発性色素異常症の患者3名と網状肢端色素沈着症の患者3名ではADAR1遺伝子の変異はなく,それぞれ独立した疾患と考えられた.
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