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症例報告
旋尾線虫幼虫Type-Xによるcreeping eruptionの1例
著者: 川瀬正昭1 赤尾信明2 名和行文3 影井昇4 渡辺直熙5 新村眞人6
所属機関: 1国立大蔵病院皮膚科 2東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学分野 3宮崎医科大学寄生虫学教室 4国立感染症研究所寄生動物部 5東京慈恵会医科大学熱帯医学講座 6東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
ページ範囲:P.490 - P.493
文献購入ページに移動77歳,女性.1999年6月25日,左膝蓋にそう痒を伴う紅色小丘疹を生じた.同丘疹が左大腿へ蛇行しながら移動した後,再び左下腿へ下行し線状紅斑を形成した.7月6日に当科を受診し生検を行ったが虫体をとらえられず,さらに左下腿から左膝蓋を経由して左足背に移動して同部に5日間停滞した.その先端の浸潤の触れる紅色丘疹を7月25日に生検した.患者は1999年3月に生ホタルイカを摂食していた.病理組織像で真皮浅層に虫体断面がみられ,その形態学的特徴により旋尾線虫幼虫Type-Xと同定した.旋尾線虫幼虫の切片を用いた蛍光抗体間接法で抗体は陰性であったが,食道腺質部に加え筋組織に対しても陽性が認められた他の患者血清を用いての酵素抗体法(IgG)では陽性であった.また,ドロレス顎口虫抽出抗原を用いたmicroplate ELISA法にてIgG抗体の陽性所見を得た.
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