臨床皮膚科59巻6号

2005年05月発行

症例報告

Malignant spiradenomaの1例

著者： 田村あゆみ¹ 加藤直子¹ 谷村心太郎¹ 山中快子¹

所属機関： ¹国立札幌病院皮膚科

ページ範囲：P.528 - P.531

文献概要

要約

　67歳，男性．5年前から出現した前胸部の多発性のspiradenomaの一部から，malignant spiradenomaを発生した．組織学的に真皮から皮下脂肪織内に結合織被膜に囲まれた大葉状，小葉状，索状，管状構造などを形成する多彩な上皮性腫瘍胞巣の増殖を認めた．一部には壊死と多数の核異型や核分裂像を認めた．本邦報告15例を詳細に検討し，多発型は単発型に比べて転移率が高いことが判明した．そのためmalignant spiradenomaの母地となるspiradenomaも，多発型の場合には積極的な全摘出術が望ましいと考えられた．