文献詳細
症例報告
外傷性浅側頭動脈瘤の1例
著者: 岩下みゆき1 二宮嘉治2 大倉隆昭2 堀之薗弘2 矢口均2 松熊晋3 早稲田豊美4
所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学教室 2自衛隊中央病院皮膚科 3自衛隊中央病院研究検査部 4自衛隊中央病院形成外科
ページ範囲:P.550 - P.552
文献概要
52歳,男性.初診3か月前に木の棒で左側頭部を殴られ,その1か月後,皮下腫瘤が出現し,増大したため自衛隊中央病院を受診した.受診時,左側頭部に拇指頭大の拍動を触れる腫瘤を認め,動脈造影にて左浅側頭動脈前枝の動脈瘤と診断した.病理組織学的には動脈瘤内に血栓を認め,壁の内弾性板が消失しており仮性動脈瘤であった.本邦皮膚科領域における浅側頭動脈瘤の報告例は12例であり,男女比は9:3,平均発症年齢は35歳,外傷の既往がある症例は73%,仮性動脈瘤は81%であった.浅側頭動脈はまれに頭蓋内の動脈や眼動脈の側副路になっていることがあるので,確認のためには動脈造影が必要であり,動脈瘤を摘出する際はいつでも開頭できるよう準備したほうがよいと思われる.
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