文献詳細
文献概要
今月の症例
男性様顔貌を呈した摩擦黒皮症の1例
著者: 小野紀子1 陳科栄1
所属機関: 1荻窪病院皮膚科
ページ範囲:P.600 - P.602
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83歳,女性.2~3年前より顔面に,皺を避けて紅斑やそう痒を伴わない黒褐色の皮疹を認め,徐々に増悪し,男性様顔貌を呈してきたため当科初診となった.顔面の皮疹が生じ始めていた頃よりナイロン性と思われるフェイスブラシを毎洗顔時に用いていた.病理組織学的には,基底層に標本全体にわたってメラニンの沈着を認め,真皮浅層にわずかにメラニン顆粒を貪食した細胞を認めた.アミロイドの沈着は認めなかった.臨床,病理所見からフェイスブラシの使用による顔面の摩擦黒皮症と診断した.摩擦黒皮症は1977年に初めて報告されて以来,数多くの報告がなされ,患者の生活習慣の変化によってその疾患傾向も変化しつつある.今回,われわれは本症に比較的まれな顔面のみに生じ,特異な男性様顔貌を呈した1例を経験したため報告した.
83歳,女性.2~3年前より顔面に,皺を避けて紅斑やそう痒を伴わない黒褐色の皮疹を認め,徐々に増悪し,男性様顔貌を呈してきたため当科初診となった.顔面の皮疹が生じ始めていた頃よりナイロン性と思われるフェイスブラシを毎洗顔時に用いていた.病理組織学的には,基底層に標本全体にわたってメラニンの沈着を認め,真皮浅層にわずかにメラニン顆粒を貪食した細胞を認めた.アミロイドの沈着は認めなかった.臨床,病理所見からフェイスブラシの使用による顔面の摩擦黒皮症と診断した.摩擦黒皮症は1977年に初めて報告されて以来,数多くの報告がなされ,患者の生活習慣の変化によってその疾患傾向も変化しつつある.今回,われわれは本症に比較的まれな顔面のみに生じ,特異な男性様顔貌を呈した1例を経験したため報告した.
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