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症例報告
糖尿病患者の頭部,顔面に生じた壊死性皮膚軟部組織感染症の1例
著者: 帖佐宣昭1 宮国均1
所属機関: 1県立宮崎病院皮膚科
ページ範囲:P.607 - P.609
文献購入ページに移動54歳,男性.糖尿病性腎症による慢性腎不全および糖尿病網膜症によるほぼ全盲状態がある.初診時,頭頂部に2か所,前頭部および右鼻部に壊死性皮膚潰瘍を認め,前医でMRSAが検出されていた.初回デブリードマン時,頭頂部と前頭部の潰瘍は皮下で広範囲に連続,感染性壊死病変は皮下脂肪織から帽状腱膜,さらに骨膜まで至っており,一部では骨皮質を露呈した.血糖管理と抗生剤点滴を施行し,局所的には保存的治療を継続,骨皮質露出面にも肉芽が出現し,分層植皮術を行った.本症例の重症化の要因として,糖尿病や慢性腎不全による易感染性と,患者の糖尿病やその合併症に対する適切な理解不足があると考えた.また,病変の拡大様式と頭部の解剖学的特徴との関連性を推察した.頭蓋骨の骨皮質が露出した場合でも板間管からの出血点から肉芽が形成されうることを確認した.
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