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症例報告
急性腎不全,化膿性関節炎を伴った丹毒の1例
著者: 石井貴之1 光戸勇1 伊部直之2
所属機関: 1福井県立病院皮膚科 2福井県立病院内科
ページ範囲:P.610 - P.612
文献購入ページに移動67歳,女性.C型肝炎に伴う肝硬変のため,当院内科に通院中であった.1日前より鼻部の発赤,疼痛を自覚し,発赤は両頬部を中心に急速に拡大した.翌日には左膝関節痛も認め,無尿となり当科を受診,丹毒と診断した.入院時,組織からの培養よりA群β溶血性連鎖球菌を検出,関節穿刺液からもA群β溶血性連鎖球菌が確認された.抗生剤投与により顔面の皮疹は軽快,腎機能も改善したが,15日目に体幹,四肢に水疱が出現した.患者に水痘の既往があり,水痘の再燃と考えた.丹毒で関節痛や急性腎不全を生じることは少なく,本例は劇症型溶血性連鎖球菌感染症に近い症状を呈した.その原因として,肝硬変による自己免疫力の低下を考えた.免疫力の低下した患者では連鎖球菌感染に伴い重篤な経過をとることがあり,注意を要する.
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