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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻7号

2005年06月発行

文献概要

症例報告

ドセタキセル水和物による固定薬疹が強く疑われた1例

著者: 任恵美1 奈良武史1 中道寛1 池田佳弘1

所属機関: 1京都第二赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.628 - P.630

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要約

 49歳,女性.2001年2月より,右乳癌肝転移に対してドセタキセル水和物60mgを用いた化学療法を開始されたが,8回目に当たる同年8月7日の治療翌日から肛門周囲にそう痒と紅斑を自覚するようになり,以後,化学療法のたびに出現した.2002年12月6日に15回目の化学療法が行われ,その日の夕方から同様の症状を認めたため,同年12月10日に当科を受診した.初診時,肛門周囲に辺縁のやや隆起した中央部退色傾向の紅斑を認め,紅斑上には小水疱が散在していた.組織学的には,表皮内に好酸性壊死を伴う水疱と液状変性がみられ,真皮ではリンパ球,組織球の浸潤とメラノファージを認めた.塩酸アザセトロンのみの再投与では発疹の出現がみられなかったことから,ドセタキセル水和物による固定薬疹と考えた.2003年3月18日からアドリアシンに変更して化学療法を行っているが,同様の症状はみられない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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