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症例報告
脂漏性角化症様の臨床像を呈したサルコイドーシスの1例
著者: 堀田健人1 村田哲1 中川秀己1 大槻マミ太郎1
所属機関: 1自治医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.647 - P.650
文献購入ページに移動77歳,男性.左乳輪境界部に自覚症状のない紅褐色結節を認めた.ドーム状で表面やや疣贅状,わずかな鱗屑と角栓を持ち,一見,脂漏性角化症を思わせた.病理組織学的にサルコイド結節と診断した.約1年前より両上肺野の異常陰影より肺結核を疑われ,当院内科で精査中であったが,経気管支肺生検(TBLB)を施行するも結核菌を認めず,経過観察となっていた.サルコイドーシスの特徴的な胸部X線異常所見として有名な両側肺門部リンパ節腫脹(BHL)は,長期経過例では肺門部リンパ節腫脹は消失し,肺野に線維化像を残すのみとなることが知られている.このため,画像所見のみでは診断に苦慮することも少なくない.一方,サルコイドーシスの皮疹は非常に多彩で,非典型なものも多いが,生検は他臓器病変に比べ侵襲は少なく,組織学的にサルコイドーシスの診断が可能であるため,特に胸部X線に異常所見を認める高齢者では皮疹を詳細に観察し,積極的に生検を行うべきと考えた.
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