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症例報告
巨大なaneurysmal fibrous histiocytomaの1例
著者: 横溝香奈1 花田圭司1 奈良武史1 種田晃子1 岸本三郎1 蔵本伸生2
所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚病態制御学教室 2福知山市民病院皮膚科
ページ範囲:P.670 - P.672
文献購入ページに移動88歳,女性.初診の約半年前より存在した左拇指背側の小腫瘤が急速に増大し,出血も認めた.初診時35×40×30mm大のドーム状,弾性硬,赤紫色の腫瘤を認め切除術を施行した.病理組織所見では真皮内に紡錘形の腫瘍細胞が充実性に増殖し,storiform patternも認めた.臨床的に隆起性皮膚線維肉腫と鑑別を要したが,組織学的にCD34免疫染色陰性,下床との境界は明瞭,腫瘍内には小血管の増生が多数あり,赤血球を容れた裂隙やほう沫細胞も認め,aneurysmal fibrous histiocytoma (AFH)と診断した.AFHが急速に増大する背景には,小血管の破綻による巨大な空隙の形成のほかに,本症例のように多数増生した小血管が腫瘍を栄養し,巨大に発育させることも考えられた.
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