文献詳細
症例報告
C型肝炎を伴った晩発性皮膚ポルフィリン症
著者: 玉川理沙1 益田浩司1 若林俊治2 岸本三郎1
所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚病態制御学 2若林医院
ページ範囲:P.760 - P.762
文献概要
62歳,男性.20歳から1日3合の飲酒歴,30歳から肝炎の既往歴がある.初診の1年前より顔面や両手背に小水疱が出現し,それが痂皮化することを繰り返すようになった.初診時,顔面,両手背に小豆大の小水疱,痂皮を伴うびらん,瘢痕,色素沈着が散在していた.右手背の小水疱から生検を行ったところ,HE染色では表皮下水疱と真皮上層血管周囲にリンパ球を主体とする軽度の炎症細胞浸潤があった.臨床検査所見では尿中ウロポルフィリンは高値を示した.また,肝機能障害がみられ,抗HCV抗体陽性であり,血清フェリチンは軽度上昇していた.以上の結果より,自験例をC型肝炎を伴う晩発性皮膚ポルフィリン症と診断した.遮光,禁酒を施行し,現在水疱の新生は認められず,びらんは上皮化したが,瘢痕,色素沈着は残存している.また,尿中ウロポルフィリンは減少しておらず,当科で定期的に経過観察している.
掲載誌情報