文献詳細
症例報告
特発性後天性全身性無汗症の1例
著者: 渡部晶子1 小澤麻紀1 落合由理子1 蔵本陽子2 田上八朗1 相場節也1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科皮膚科学講座 2古川市立病院皮膚科
ページ範囲:P.763 - P.765
文献概要
30歳,男性.受診の2か月前より手掌,足底,下眼瞼以外に発汗がなくなり,仕事中に発熱するようになった.無汗の原因となる基礎疾患および無汗以外の自律神経症状はなく,体温上昇時の皮膚の疼痛やコリン性蕁麻疹はみられなかった.発汗試験では上述部位と両腋窩以外の発汗は認めず,無汗部の皮膚生検像では汗腺の変性はなかったが,汗腺周囲の単核球の浸潤が多数みられた.特発性後天性全身性無汗症と診断し,ステロイドパルス療法を開始したところ,2クール目施行中に発汗がみられた.治療後の再生検像では汗腺周囲の浸潤細胞は消失しており,発症機序として汗腺を標的とした細胞性免疫の関与が示唆された.
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