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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻8号

2005年07月発行

文献概要

連載

アメリカで皮膚科医になって(3)―From Japan to America:American Life as a Physician-Scientist

著者: 藤田真由美1

所属機関: 1コロラド大学皮膚科

ページ範囲:P.816 - P.817

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アメリカの医療保険(Medical Insurance)

 アメリカの医療現場は,研修医として見る場合と,一人の医師として見る場合とでは,雲泥の差がある.研修医の間は,教科書の知識の取得と実践に役立つ判断力,技術の訓練をするが,実際に医師として患者を診だすと,患者によって治療方針を変更しないといけないことがわかってくる.それを作用する大きな要因は,アメリカの健康保険制度にある.

 アメリカでは,日本のような国民健康保険はなく,多種の民間保険会社が様々な保険制度を作っている.どの保険を選択するかは,全く個人の自由だ.たいがいは,職場が何種類かの保険会社と格安契約を結んでいて,その中から自分の予算,家族の健康状態によって保険を選ぶ.例として,コロラド大学職員の医療保険料を表に挙げる.大学は,7種類の保険と格安契約をしている.家族構成によって保険料が異なるが,左が1か月の保険料(保険会社に支払われる保険料)で,そのうちの203ドル(雇用者だけの保険の場合)から470ドル(家族全員の保険の場合)は大学が負担してくれる.実際に私たち職員が支払う保険料は右にある金額となる.ちなみに現在1ドル108円である.これでわかるように,家族用の保険だと1か月の保険料負担は,保険Gの19ドルから保険Eの1,322ドルと大差がある.保険Gは安いが,最低限のカバーしかしない.保険A,B では保険会社と契約している病院,医師でしかカバーされない.これに対し,CからFでは,病院や医師の選択肢が広くなる.持病の種類によっては,自分のお気に入りの医師や特別の病院で診てもらうためには高い保険料を払わないといけないということになる.この表は医療保険のみだが,歯科保険も同様に選ばないといけない.これでわかるように,保険料は給料と関係なく一律なので,給料の高い人には大したことはないが,給料が低い場合には高い保険となる.また,職場によっては(あるスーパーマーケットの雇用では),会社負担金額がゼロだったりすると,とてつもなく高い保険となる.また,パートの人にはこの恩恵がなかったりもする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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