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症例報告
広範に水疱,血疱を形成し,上咽頭癌を合併した皮膚筋炎の1例
著者: 原彰吾1 仙崎雄一1 宮岡由規1 敷地孝法1 滝脇弘嗣1 荒瀬誠治1
所属機関: 1徳島大学医学部感覚運動系病態医学講座皮膚科学分野
ページ範囲:P.842 - P.845
文献購入ページに移動67歳,男性.皮膚筋炎あり.広範に水疱,血疱を形成し,上咽頭癌を合併した.水疱形成を伴う場合は悪性腫瘍の合併率が高いことが知られているが,当初,全身検索で悪性腫瘍を見いだせなかった.しかし,経過中に嚥下困難を訴え,それを機に耳鼻咽喉科的精査をしたところ,上咽頭癌を見いだした.嚥下困難は上咽頭癌の直接症状というよりは,皮膚筋炎に基づいた症状であると思われたが,文献的にも嚥下困難は悪性腫瘍の合併を示唆する所見の1つとして重要と思われた.皮膚筋炎に合併する腫瘍として,本邦では上咽頭癌は稀であるが,中国南部やシンガポールでは上咽頭癌が最多とされる.悪性腫瘍の合併が疑われるが,呼吸器,消化器,婦人科領域の精査で異常がない場合は,上咽頭癌の可能性も念頭におき,EBウイルス(EBV)IgA抗体価の測定や耳鼻咽喉科的精査も考慮すべきと思われた.
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