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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻9号

2005年08月発行

文献概要

症例報告

多発限局型と考えたpagetoid reticulosisの1例

著者: 紺野隆之1 三橋善比古1 紺野恵理子1 近藤慈夫1 伊藤義彦2

所属機関: 1山形大学医学部情報構造統御学講座皮膚科学分野 2明石医院

ページ範囲:P.868 - P.871

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要約

 66歳,女性.5年前より頭頂部に潰瘍形成を繰り返す紅斑局面があった.初診時,頭頂部に潰瘍を伴う径3cmの比較的境界明瞭な紅斑あり.自覚症状はなかった.背部,左側頭部にも鱗屑をつける紅斑があった.組織所見では,表皮基底層を中心に,大型で濃染する核をもち,胞体の明るい,いわゆるPaget細胞様外観を呈する異型細胞が表皮内に浸潤し,潰瘍部の真皮には,濃染する大型の核をもつ細胞,核分裂像を認めた.免疫組織化学的所見は,表皮内および真皮内にみられる異型細胞は,CD3陽性,CD4,CD8ともに陰性のTリンパ球であった.頭頂部と背部の紅斑は切除し,側頭部の紅斑には放射線照射を行った.pagetoid reticulosisの本邦報告例を検討したところ,皮疹が限局した領域に複数個存在した場合でも,治療に反応し再発がない場合は限局型に分類され,予後は良い.自験例も皮疹は多発するが限局型と考えられる.しかし,限局型から播種型への移行例も報告されており,今後も注意深い観察が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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