文献詳細
文献概要
症例報告
黒色結節を呈した外陰部アポクリン囊胞腺腫―腫瘍内褐色顆粒について検討した1例
著者: 大沢真澄1 横倉英人1 東隆一1 梅本尚可1 加倉井真樹1 戸田淳1 山田茂樹2 塚原信五3 出光俊郎1
所属機関: 1自治医科大学附属大宮医療センター皮膚科 2自治医科大学附属大宮医療センター病理部 3塚原産婦人科医院 4ハーバード大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.882 - P.884
文献購入ページに移動51歳,女性.婦人科検診で外陰部の黒色斑を指摘され,当科を紹介された.左小陰唇粘膜側に直径2mm大の黒色斑があり,弾性硬に触知した.病理組織学的所見では真皮内に大小の囊腫が存在した.囊腫壁は1~数層の細胞からなり,筋上皮細胞と思われる扁平な細胞と,胞体の明るい円柱状あるいは立方型の細胞から構成されていた.内腔側の細胞には乳頭状に増殖する部分もあり,一部で断頭分泌の像を示した.壁細胞の免疫染色はCEA,S-100蛋白ともに陰性であった.壁細胞質内および囊腫内の多くに褐色の顆粒を認めた.以上より,アポクリン囊胞腺腫と診断した.また,腫瘍内の顆粒は黄金褐色の自家蛍光を発し,Schmorl反応における青緑色陽性の結果と合わせて,リポフスチンと考えた.アポクリン囊胞腺腫の臨床像,特に色調は多彩である.自験例では腫瘍内の多量のリポフスチンにより,黒色調を呈したと考えた.
掲載誌情報