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症例報告
Mucinous carcinoma of the skinの1例
著者: 寺澤直子1 花田圭司1 小西啓介1 沼尻敏明2
所属機関: 1京都市立病院皮膚科 2京都府立医科大学形成外科
ページ範囲:P.906 - P.908
文献購入ページに移動46歳,女性.初診の約2年前,右後頭部に皮下腫瘤が出現し,徐々に増大してきた.径30×20mm,弾性軟,可動性はなかった.臨床的には粉瘤を疑い,局麻下に全摘した.組織学的には真皮内に線維性被膜で覆われた充実性腫瘍を認めた.内部はさらに線維性隔壁により明瞭に区画され,隔壁内は粘液様物質が充満していた.個々の腫瘍細胞は小型で大きさは均一であり,核異型性,細胞異型性は乏しかった.腫瘍塊は充実性胞巣構造,一部に管腔様配列を呈し,粘液中に浮遊するかのように認められた.血液生化学検査では異常はなかった.内臓悪性腫瘍の皮膚転移との鑑別のため全身検索を施行したが,異常所見は認めなかった.以上よりmucinous carcinoma of the skinと診断した.前回術創部より辺縁を3cm離して,下は骨膜まで切除し,人工真皮植皮術を施行後,右大腿部より分層植皮術を施行した.術後経過は良好であり,現在まで再発・転移は認めていない.
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