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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻1号

2006年01月発行

症例報告

難治性下腿潰瘍を呈したIgA型抗カルジオリピン抗体陽性の抗リン脂質抗体症候群の1例

著者: 伊川友香1 長谷川稔1 齊藤恵里子1 山田瑞貴1 佐藤伸一1 山崎雅英2 竹原和彦1

所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科皮膚科学教室 2金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学講座

ページ範囲:P.43 - P.45

文献概要

要約 57歳,女性.34歳時に両下腿に網状皮斑,虫喰い状の潰瘍が出現した.近医にて局所処置を受け潰瘍はいったん治癒したが,43歳時に両下腿に潰瘍が再発した.血管炎を疑われて長期にわたり副腎皮質ステロイドホルモン内服,局所処置などで加療されていた.初診の約1年前に潰瘍が再発し,精査目的に当科へ紹介された.ループス・アンチコアグラント(LA)やIgM,IgG型の抗カルジオリピン抗体(aCL)は陰性であったが,IgA型のaCL陽性が判明した.皮膚潰瘍の原因となる明らかな血栓は検出できなかったが,頭部MRIで多発性微小梗塞がみられ,抗リン脂質抗体症候群と診断した.ステロイドを減量し,ワルファリンカリウムによる抗凝固療法を開始したところ,皮膚潰瘍の治癒が促進し,皮膚潰瘍の原因としてIgA型のaCLが関与していたと考えて抗リン脂質抗体症候群による難治性下腿潰瘍と診断した.

伊川友香,他:臨皮60:43-45,2006

参考文献

1) 小池隆夫:炎症20: 571, 2000
2) Wilson WA, et al: Arthritis Rheum42: 1309, 1999
3) Michael SA, et al: J Rheumatol28: 694, 2001
4) 鏑木淳一:臨床検査48: 273, 2004
5) 渥美達也:日内会誌92: 48, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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