臨床皮膚科60巻12号

2006年11月発行

症例報告

Transient acantholytic dermatosisの1例

著者： 片山美玲¹ 青木見佳子¹ 竹内淳子¹ 岩切加奈² 川名誠司¹

所属機関： ¹日本医科大学皮膚科学教室 ²矢代皮膚科医院

ページ範囲：P.1093 - P.1095

文献概要

　73歳，女性．3年前より夏季にのみ胸部に皮疹が出現していた．初診時，両膝窩を中心に両大腿，下腿，胸部に融合傾向のない角化性丘疹がみられた．病理組織像にて角層肥厚，表皮の乳頭腫状増殖，基底層直上の裂隙形成，円形体などの異常角化細胞を認め，また，蛍光抗体直接法では免疫グロブリン，補体は沈着しておらず，transient acantholytic dermatosisと診断した．白色ワセリン外用のみで初診の1か月後には皮疹は軽快し，4か月後にはほぼ消退した．

参考文献

1) Grover RW, Park F: Arch Dermatol101: 426, 1970

2) 松村喜一郎, 他：臨床神経学56: 509, 1986

3) 栄枝重典, 他：臨皮41: 133, 1987

4) 山川有子, 他：西日皮膚53: 938, 1991

5) 冨沢幸生：皮膚臨床41: 307, 1999

6) 鈴木啓介, 馬場俊一：皮膚病診療10: 1037, 1988

7) 山崎雄一郎, 他：皮膚臨床32: 892, 1990

8) 薄場泰子, 他：皮膚臨床32: 1287, 1990

9) 加藤直子, 古屋和彦：日皮会誌101: 453, 1991

10) 鈴木健司, 他：臨皮47: 865, 1993

11) 西井芳夫, 川津友子：臨皮48: 81, 1994

12) 磯部英一, 他：臨皮50: 58, 1996

13) 北畠雅人, 他： 臨皮41: 665, 1987

14) 島田由香里, 松本鐐一：皮膚臨床29: 779, 1987

15) 薄場　秀, 宇佐美義政：皮膚臨床35: 982, 1993

16) 小林恒久, 他：皮膚臨床36: 1761, 1994

17) 溝口志真子, 他：西日皮膚59: 835, 1997

18) 渡部秀典, 他：皮膚臨床42: 1035, 2000

19) 国方なぎさ, 他：皮膚病診療22: 927, 2000

20) 中瀬古裕乃, 他：日皮会誌111: 961, 2001

21) Simon RS: Arch Dermatol112: 1429, 1976

22) 野村政夫, 他：皮膚26: 279, 1984

23) 嶋崎　匡：皮膚臨床26: 1331, 1984

24) Davis MDP: Mayo Clin Proc74: 229, 1999

25) 真鍋　求, 他：皮膚臨床39: 1041, 1997

26) Hu CH: Arch Dermatol121: 1439, 1985

27) Grover RW, Rosenbaum R: J Am Acad Dermatol11: 253, 1984