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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻12号

2006年11月発行

症例報告

疱疹状皮膚炎―ヨード系造影剤使用を契機に発症し,ステロイド外用薬と抗アレルギー薬でコントロールが可能であった1例

著者: 加倉井真樹1 平塚裕一郎1 東隆一1 岩田基子1 梅本尚可1 山田朋子2 鈴木正之2 出光俊郎1

所属機関: 1自治医科大学附属大宮医療センター皮膚科 2自治医科大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1096 - P.1099

文献概要

 73歳,男性.68歳時に肝細胞癌を指摘された.ヨード系造影剤を使用したCT検査後,そう痒性皮疹が出現した.痒疹の診断で,経過をみていたところ,半年後,小水疱が多発したために再度,来院した.再診時,臀部,四肢に浮腫性紅斑と小豆大までの小水疱が認められた.病理組織像では表皮下水疱と真皮乳頭層の微小膿瘍が観察された.蛍光抗体直接法では真皮乳頭層にIgAの細線維状,一部顆粒状の沈着がみられ,疱疹状皮膚炎と診断した.以後,ステロイド外用薬と抗アレルギー薬でコントロールされている.自験例では,①肝細胞癌の合併,②ヨード系造影剤の使用後の発症と再使用による増悪,③ステロイド外用薬と抗アレルギー薬が有効であったことなどが従来の報告と較べて特異であった.

参考文献

1) 藤本 亘:Duhring疱疹状皮膚炎.最新皮膚科学大系 第6巻, 中山書店, p122, 2002
2) 矢尾板英夫, 他:皮膚病診療19: 335, 1997
3) Zone J: Dermatitis herpetiformis. Louis: Mosby-Year Book, p157, 1993
4) Oranje AP, et al: Acta Derm Venereol65: 440, 1985
5) Lewis HM, et al: Clin Exp Dermatol18: 363, 1993
6) Borghi-Scoazec G, et al: J Hepatol40: 871, 2004
7) Reunala T, et al: Acta Derm Venereol62: 343, 1982
8) 杉山悦朗, 他:臨皮49: 390, 1995
9) 高 淑子, 他:臨皮48: 1078, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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