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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻12号

2006年11月発行

症例報告

全身性への移行が考えられる皮膚結節性多発動脈炎の1例

著者: 水野京子1 永岡譲1 足立真1 永田茂樹2

所属機関: 1関東労災病院皮膚科 2公立昭和病院皮膚科

ページ範囲:P.1103 - P.1106

文献概要

 46歳,男性.初診より数週間前に頭痛と発熱,両下腿の浮腫および疼痛が出現した.蜂窩織炎と診断し加療していたが,両下肢と両前腕に大豆大までの浸潤の強い類円形紅斑が出現し,局所圧痛と睾丸痛も存在した.右大腿部と下腿の浸潤を触れる紅斑部の生検で,小動脈の内膜にフィブリノイド壊死性血管炎が認められた.血液検査所見ではCRPの上昇がみられ,P-ANCA,C-ANCAと抗核抗体は陰性であった.尿検査,胸部X線,心電図と心エコーに異常所見はなかった.血圧も正常範囲内であった.以上より,結節性多発動脈炎の本邦診断基準を満たさず,皮膚結節性多発動脈炎と診断した.しかし,American College of Rheumatologyの診断基準では結節性多発動脈炎になるため,全身性への移行を念頭に置き,経過観察すべき症例と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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