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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻12号

2006年11月発行

文献概要

症例報告

病状の進行とともに血管腫が増数したPOEMS症候群の1例

著者: 山口隆広1 佐藤典子1 中山樹一郎1 斉藤喬雄2 桐生美麿3

所属機関: 1福岡大学医学部皮膚科 2福岡大学医学部腎臓内科 3福岡皮膚病理診断研究所

ページ範囲:P.1148 - P.1151

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 46歳,男性.初診の約1年前より全身に散在する血管腫,下肢の浮腫,手足のしびれ感を自覚し,右肺胸水を近医にて指摘されたため,当院内科を受診した.皮膚症状として軀幹,四肢に多発する血管腫,背部の色素沈着,下肢の浮腫を認めた.当科にて血管腫の生検を行ったところ,組織像はPOEMS症候群の皮膚症状として特徴的なglomeruloid hemangiomaであった.異常検査所見としてM蛋白血症,血清VEGF(vascular endothelial growth factor),IL-6高値,尿中Bence-Jones蛋白陽性がみられた.内科的所見として,各種内分泌障害,肝脾腫,末梢神経伝導速度遅延を認めた.治療は各種化学療法や血漿交換療法を行ったが,血管腫は増数し続けた.外科的療法として,手術療法とレーザー療法を行った.治療抵抗性で,低蛋白血症が原因の両側胸水による呼吸不全で死亡した.自験例は病状の進行とともに,血管腫の著明な増数を認めた治療抵抗性の症例である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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