臨床皮膚科60巻13号

2006年12月発行

症例報告

皮膚浸潤で診断された原発性乳癌の1例

著者： 鈴木由貴¹ 北見由季¹ 末木博彦¹ 飯島正文¹ 澤田晃暢²

所属機関： ¹昭和大学医学部皮膚科学教室 ²昭和大学医学部第二外科学教室

ページ範囲：P.1255 - P.1257

73歳，女性．約1年前より左前胸部に小結節が出現し，徐々に増大した．初診時，左前胸部に42×34mmのドーム状に隆起する弾性硬の皮内から皮下結節がみられ，下床と癒着していた．表面は紅色調で毛細血管拡張を伴い，中央は軽度陥凹し，痂皮を付着していた．転移性皮膚腫瘍を考え，生検した．組織所見では腫瘍細胞が胞巣状・索状に増殖し，一部に管腔構造を伴っていた．発症部位より乳癌との関連を疑った．胸部CT，マンモグラフィ所見より原発性乳癌と診断し，左胸筋温存乳房切除術を施行した．術後は内分泌療法を施行中である．

参考文献

1) 北川貴子, 他：がん・統計白書-罹患/死亡/予後, 篠原出版, p159, 1999

2) 日本乳癌学会：乳癌取扱い規約, 第15版, 金原出版, p11, 2004

3) 田島知郎：標準外科学, 第10版, 医学書院, p331, 2004

4) 黒住昌史：マンモグラフィ読影に必要な乳腺画像・病理アトラス, 学際企画, p52, 2004

5) 山田政春, 須貝哲郎：日皮会誌94: 983, 1984

6) 谷口龍生, 他：日皮会誌106: 798, 1996

7) 永尾圭介, 他：日皮会誌108: 268, 1998

8) 杉山陽子, 他：日皮会誌108: 1472, 1998

9) 神田小名美, 他：皮膚病診療20: 961, 1998

10) 国井隆英, 他：日皮会誌109: 683, 1999

11) 薬師寺直喜, 永松将吾：西日皮膚63: 585, 2001

12) 東亜希子：日皮会誌113: 316, 2003