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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻13号

2006年12月発行

文献概要

治療

RxH4(ハイドロキノン含有化粧品)の色素沈着症に対する有用性の検討

著者: 川島眞1 RxH4研究班

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科

ページ範囲:P.1277 - P.1287

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色素沈着症の治療としてハイドロキノンを配合した製剤は,その有効性において一定の評価がなされているが,安定性や刺激性の面で課題も多い.RxH4は,ハイドロキノンを4%配合し,安定性(室温3年)と安全性を高めた製剤(美容液)であり,本剤の各種色素沈着症に対する臨床評価を3試験にて行った.一つは肝斑(50例)に対するハイドロキノン無配合対照品とした二重盲検左右比較試験を行い,左右比較において有意に優れる結果(p<0.01)が得られた.中等度改善以上40.9%,軽度改善以上68.2%の改善率であった.同時に老人性色素斑(47例),炎症後色素沈着症(10例),雀卵斑(5例),肝斑(4例)の計66例に対して一般臨床試験を行い,中等度改善以上64.4%,軽度改善以上91.5%の改善率であった.一方,副作用による中止は,4例(3.5%:紅斑,接触皮膚炎,ざ瘡)認められたが重症例はなく,パッチテストでも感作性は確認されず,中止ないし処置を行うことにより消失した.さらに他の美容治療との併用時の安全性を検討したが,特にバリア機能の低下するレチノイン酸との併用時には皮膚状態をみながら注意深く使用すべきことが確認された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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