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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻2号

2006年02月発行

文献概要

今月の症例

免疫不全患者にみられたサイトメガロウイルスによる肛門周囲潰瘍の1例

著者: 川合さなえ1 山中新也1 藤沢智美1 清島真理子1

所属機関: 1大垣市民病院皮膚科

ページ範囲:P.113 - P.116

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要約 75歳,女性.膠原病関連間質性肺炎でプレドニゾロン40mg/日,シクロスポリン25mg/日を内服中,肛門周囲に疼痛を伴うびらん・潰瘍が出現した.血中サイトメガロウイルス(CMV)アンチゲネミア陽性,潰瘍辺縁の皮膚病理組織で真皮の血管内皮に封入体をもつ大型で不整形な細胞を認め,また皮膚組織PCR法でCMV DNAを検出した.これらの所見より,肛門周囲に形成されたびらん・潰瘍はCMV感染に伴うものと考えた.症状発現約1か月後に心筋梗塞で死亡した.皮膚CMV潰瘍は,比較的稀であるが致死的な経過をたどることが多い.免疫不全患者に生じた潰瘍性病変をみた場合,特に外陰部・肛門周囲では本症の可能性を念頭に置き,早期に診断,治療することが重要である.

参考文献

1) 吉田正己:サイトメガロウイルス感染症. 最新皮膚科学大系, 第15巻, 中山書店, p47, 2003
2) 岸本三郎:臨皮58: 424, 2004
3) 矢野克明, 他:皮膚臨床42: 1195, 2000
4) 橋口貴樹, 他:皮膚病診療23: 673, 2001
5) Toome BK, et al: J Am Acad Dermatol24: 857, 1991
6) Pariser RJ: J Am Acad Dermatol19: 937, 1983
7) Dauden E, et al: Arch Dermatol137: 443, 2001
8) Nico MMS, et al: J Dermatol27: 99, 2000
9) Lee JY: Am J Clin Pathol92: 96, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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