icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻2号

2006年02月発行

文献概要

症例報告

血清亜鉛補正療法併用が有効であった水疱性類天疱瘡の1例

著者: 相楽玲1 山本真里1 永田茂樹1

所属機関: 1公立昭和病院皮膚科

ページ範囲:P.138 - P.141

文献購入ページに移動
要約 64歳,女性.くも膜下出血後の後遺症のためうつ状態になり,初診の半年前より経管栄養を開始した.1か月半前から両手足の紅斑と軀幹,四肢に水疱が出現し,前医にて水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)と診断された.プレドニゾロン(PSL)25mg/日の内服で治療を開始,皮疹が軽快し減量された際,手足の皮疹が再燃した.PSL50mg/日に増量後も皮疹が軽快しないため,当科を紹介された.初診時,両外眼角,両口角,下顎,両耳介に拇指頭大までの境界明瞭な暗紅色紅斑が散在し,瘙 痒がみられた.両手掌,足底には潮紅を認め,拇指頭大の水疱,びらんが混在していた.即日,水疱部より皮膚生検を施行し,病理組織学的所見はBPに合致していた.血液検査所見では血清亜鉛が22μg/dlと低値であった.PSL30mg/日に減量し,ポラプレジンク150mg/日の内服を追加したところ皮疹が速やかに軽快し,PSL5mg/日まで減量,維持できた.以上より,本症例を亜鉛欠乏が難治の原因であるBPの1例と考えた.

参考文献

1) 橋本 隆:最新皮膚科学大系 6, 中山書店, p98, 2002
2) 鈴木康之, 他:西日皮膚63: 260, 2001
3) Girodon F, et al: Arch Intern Med159: 748, 1999
4) 花田勝美, 中野 創:最新皮膚科学大系10, 中山書店, p106, 2003
5) 高久史麿, 他:治療薬マニュアル, ハイブリッドCD-ROM版, 医学書院, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?