臨床皮膚科60巻2号

2006年02月発行

症例報告

胆囊癌の臍転移の1例

著者： 高畑ゆみ子¹ 小笠原弓恵¹ 奥田未加子¹ 内平美穂¹ 濱本嘉昭¹ 武藤正彦¹ 良沢昭銘²

所属機関： ¹山口大学医学部分子感知医科学講座皮膚科学教室 ²山口大学医学部消化器病態内科学教室

ページ範囲：P.175 - P.177

要約　69歳，女性．初診の18年前より胆石症を指摘されたが自覚症状がなく放置していた．初診の約4か月前に腹痛と臍部に小豆大の紅色小結節を認め，CTおよび腹部超音波検査にて胆囊癌と診断した．臍部の紅色小結節の病理組織診断は腺癌であった．胃幽門部狭窄のため，原発巣の生検は不可能で組織型は不明であったが，皮膚生検の結果から原発巣の組織型が推測でき，治療法の選択に役立った．胆囊癌の皮膚転移は比較的稀であり，本邦ではこれまでに16例が報告されている．臍部腫瘤は内臓癌発見の唯一の手がかりとなることもあり，日常診療において常に念頭に置く必要があると考えた．

参考文献

1) 森　　旦, 他：癌の臨床9: 351, 1963

2) 河野正恒, 他：皮膚病診療4: 253, 1982

3) 田中雅祐, 他：臨皮30: 893, 1976

4) 清水育子, 他：皮膚紀要78: 234, 1983

5) Yamakawa T, et al: Am J Gastroenterol78: 649, 1983

6) 南光弘子, 他：厚生病年報12: 207, 1985

7) 西川　真, 他：日臨外46: 1036, 1985

8) 洞ノ口佳充, 他：千葉医誌64: 280, 1988

9) 水川帰一郎, 他：米子医誌41: 257, 1990

10) 村上義昭, 他：日消外会誌24: 900, 1991

11) 喜安佳人, 他：日消外会誌24: 1830, 1991

12) 小林寛久, 他：神奈川医会誌18: 348, 1991

13) 木下誠司, 他：日皮会誌102: 623, 1992

14) 服部尚子, 他：皮膚臨床37: 449, 1995

15) 橋本貴至, 他：日消誌92: 101, 1995

16) 西尾秀樹, 他：胆と膵16: 973, 1995

17) 加藤真理子, 他：皮膚臨床40: 2115, 1998

18) 村上　孝, 他：皮膚臨床42: 224, 2000