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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻3号

2006年03月発行

文献概要

症例報告

紫斑を呈したヒトパルボウイルスB19感染症の成人例

著者: 幸田紀子1 佐々木一1 萩原正則1 松尾光馬1 本田まりこ1 中川秀己2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属青戸病院皮膚科 2東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.237 - P.240

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34歳,女性.初診の4日前に発熱(38.1℃)と右腋窩,腹部,両鼠径部,左膝窩に紫斑が出現した.紫斑部の病理組織は,真皮浅層から中層の血管周囲にリンパ球を主体とする細胞浸潤と赤血球の血管外漏出,血管内皮細胞の膨化を認めたが壊死性血管炎像はなかった.リンパ球表面マーカーでCD4優位のリンパ球浸潤をみた.免疫グロブリンおよび補体の沈着はなかった.ヒトパルボウイルスB19に対する抗体価は,IgM高値,IgG低値であったが,その後IgGは上昇し,また血清中にHPV-B19DNAが検出されたことから,本例は感染初期に紫斑を生じたと考えられた.紫斑の発生機序として,HPV-B19の血管内皮細胞感染による直接的傷害,HPV-B19感染による血小板減少,荷重や摩擦による機械的刺激が考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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