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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻5号

2006年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス 2006 Clinical Dermatology 2006 1. 最近話題の皮膚疾患

Arthroderma benhamiaeによる白癬

著者: 望月隆1 河崎昌子1 安澤数史2

所属機関: 1金沢医科大学環境皮膚科学部門 2金沢医科大学総合医学研究所皮膚真菌学研究部門(ノバルティス ファーマ)

ページ範囲:P.8 - P.12

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要約 Trichophyton (T.) mentagrophytesはT. rubrumに次いで高頻度に分離されるありふれた皮膚糸状菌(以下白癬菌)であるが,最近までこの菌の有性世代の1つであるArthroderma (A.) benhamiaeは本邦には分布しないとされていた.しかし,1996年以降,本菌の分離例が相次いで報告されている.本菌は多くは女性,若年者の体部白癬から分離され,そのほとんどにペット(ウサギ,モルモットなど)が関与していたと考えられる.また,家族内発生例も少なくない.皮疹は顔面,手などの露出部に単発あるいは少数個出現するが,一般に炎症所見が強く,中心治癒傾向が明確でなく,貨幣状湿疹と誤診されやすい.幼小児の頭部ではケルスス禿瘡になる例が知られている.治療は他の白癬菌による白癬に準じて行うが,治療中に白癬疹を合併して一過性に増悪する例がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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