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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻6号

2006年05月発行

文献概要

症例報告

結節性紅斑様皮疹で発症した結節性多発動脈炎の1例

著者: 林昌浩1 木根淵智子1 山田真枝子1 川口雅一1 門馬文子1 三橋善比古1 近藤慈夫1 安孫子広2

所属機関: 1山形大学医学部皮膚科 2山形大学医学部第一内科

ページ範囲:P.437 - P.440

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 25歳,男性.2004年3月頃から下腿に圧痛を伴う紅斑と関節痛が出現した.皮疹の所見,生検組織像から結節性紅斑(EN)と考え,入院のうえ安静と消炎鎮痛薬の内服で改善したため退院した.8月中旬より下腿の紅斑が増加し潰瘍化してきたため再入院した.潰瘍周囲の紅斑の生検で,真皮下層から脂肪織に壊死性血管炎の像がみられた.抗核抗体,MPO-ANCA,PR3-ANCAはいずれも陰性であった.下肢のしびれ感,腹痛,下血も出現した.下部消化管内視鏡で上行結腸粘膜の発赤を認めた.胸腹部CTおよび腹部大動脈分枝の動脈造影では異常所見はなかった.結節性多発動脈炎(PN)と診断しステロイドパルス療法を行ったところ,下血・腹部症状は消失し,下腿の潰瘍も徐々に上皮化した.PNは時にEN様皮疹で発症することがあり,注意を要する.

参考文献

1) 斉藤隆三:現代皮膚科学大系, 第1版, 第4巻, 玉置邦彦, 他(編), 中山書店, p132, 2003
2) 堀内賢二, 他:臨皮42: 153, 1992
3) 長沢俊彦:厚生省特定疾患系統的脈管障害調査研究班1989年度研究報告書, p11, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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