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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻6号

2006年05月発行

症例報告

頸部皮膚の多発性リンパ腫浸潤を伴った消化管MALTリンパ腫

著者: 足立厚子1 皿山泰子1 清水秀樹1 さか本善雄2 安田大成3

所属機関: 1兵庫県立加古川病院皮膚科 2兵庫県立加古川病院病院内科 3兵庫県立加古川病院病院病理

ページ範囲:P.504 - P.507

文献概要

 61歳,女性.3年前より,頸部に痒みを伴い発汗時に増大する多発性丘疹に気づいた.初診時,頸部に米粒大までの多数の小結節を散在性に認めた.皮膚生検にて汗腺への浸潤・破壊を伴う真皮全層の結節状リンパ球浸潤を認め,浸潤細胞はCD20・CD79a陽性のB細胞が主体であった.フローサイトメトリーにてκ鎖優位で,免疫グロブリンH鎖遺伝子が再構成しており,cyclin D1陰性であったことより,MALTリンパ腫と診断した.内視鏡にて十二指腸・直腸などに1cmまでの多発性粘膜下腫瘍があり,その生検組織より消化管MALTリンパ腫と診断した.骨髄・脾臓にもリンパ腫浸潤をみた.抗ヘリコバクターピロリ抗体・尿素呼気試験が高値を認めたため除菌療法を開始したが,除菌は成功するもリンパ腫は不変であった.そこでリツキシマブ併用CHOP療法を開始したところ1クールにて皮膚病変は消失し,3クールにて消化管・骨髄・脾病変もすべて消失した.8クール終了現在,CRと判定した.

参考文献

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7) Conconi A, et al: Blood102: 2741, 2003
8) Yoshino T, et al: Cancer91: 346, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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