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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科60巻8号

2006年07月発行

文献概要

症例報告

八丈島で感染・発症したMicrosporum gypseumによるケルスス禿瘡の1例

著者: 菊地伊豆実1 田沼弘之2 森本健介1 久米光1 川名誠司1

所属機関: 1日本医科大学皮膚科 2田沼皮膚科医院

ページ範囲:P.736 - P.739

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要約 8歳,八丈島在住の男児.左前頭部に母指頭大の痂皮を伴う紅斑が出現した.近医にて,ケトコナゾールクリームとナジフロキサシンクリームを外用後,硫酸ゲンタマイシン軟膏の外用とし,セファクロルの内服に変更したが,改善しなかった.皮膚生検時に採取した組織片の培養より,Microsporum (M.)gypseumを分離しケルスス禿瘡と診断した.イトラコナゾール50mg/日の70日間内服で治癒した.患児が普段遊んでいる小学校のグラウンドの土壌を用いてhair-bait法を施行したがM. gypseumは検出されなかった.われわれの調べえた限りでは,今まで八丈島におけるM. gypseumによるケルスス禿瘡の報告はなく,自験例が第1例目であると思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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