icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻10号

2007年09月発行

文献概要

症例報告

多臓器転移を認めたsyringomatous carcinomaの1例

著者: 若林麻記子1 藤井紀和1 柴田史子1 古田未征1 田澤隆広1 植西敏浩1 尾本光祥1 段野貴一郎1 田中俊宏1 松本圭司2

所属機関: 1滋賀医科大学皮膚科 2滋賀医科大学整形外科

ページ範囲:P.838 - P.841

文献購入ページに移動
要約 63歳,男性.1987年,プレス機で左手指を挟まれ骨折し,左中指PIP関節切断術を施行した.10年後,左示指基部に硬結が出現し,1999年11月の初診時,左示指基部に1.0×1.5cmの出血,びらんを伴う結節,さらに,その周囲に径4cm大の硬結を認めた.深部組織を含めた生検を施行し,syringomatous carcinoma (SC)と診断した.2000年1月,左示指,中指の切断と硬結部より1cm離した切除を施行した.その後,左腋窩リンパ節,肺,皮膚,脳転移が生じた.この間,多剤併用化学療法やタキソール®を施行したが,転移病巣に効果はなく,呼吸不全により永眠された.SCは局所の取り残しのない切除を行えば,予後は比較的良好な疾患と考えられている.しかし,自験例のように多臓器転移を認めた症例もあり,今後の症例の蓄積が必要と思われた.

参考文献

1) Abenoza P, et al: Neoplasms with eccrine differentiation, Lea and Febiger, p371, 1990
2) 澤井治子, 他:皮膚科学3: 206, 2004
3) 大塚 壽, 他:日形会誌20: 677, 2000
4) 石川大介, 他:日眼会誌102: 281, 1998
5) 上出康二, 他:皮膚診療22: 259, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?