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症例報告
血小板減少をきたしたマムシ咬傷の1例
著者: 嘉陽織江1 加藤陽一1
所属機関: 1岡崎市民病院皮膚科
ページ範囲:P.898 - P.900
文献購入ページに移動要約 80歳,男性.左足マムシ咬傷にて創部の出血が続き,疼痛が強くなったため,受傷90分後に受診した.初診時,バイタルサインは安定しており,左足内果部に皮下出血を伴う2個の牙痕があり出血が持続していた.左足関節までの軽度腫脹を認めた.血小板4.2×104/mm3と減少していたが,凝固系は正常であった.尿潜血反応では(3+)で溶血を認めた.直ちにマムシ抗毒素6,000単位を点滴静注したところ,3時間後には血小板数11.8×104/mm3まで回復した.尿潜血反応も次第に低下し,第10病日に退院となった.マムシ咬傷において,局所の腫脹が顕著でなく血小板減少をきたす症例は「血小板減少型」と提唱され,マムシ毒素が直接血管内に注入されることにより生じると考えられている.咬傷による局所症状が軽度であっても,急速に血小板減少を呈する場合には,抗毒素の早期使用を考慮すべきである.
参考文献
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