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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻13号

2007年12月発行

文献概要

症例報告

卵巣癌の姑息的手術後に改善がみられた皮膚筋炎

著者: 石田正1 水川良子1 塩原哲夫1 塩川滋達2 岩下光利2

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.1039 - P.1042

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要約 60歳,女性.初診の2週間前に露光部と手指関節背部の紅斑を認め,近医で皮膚筋炎を疑われ紹介受診した.初診時,左鎖骨上窩リンパ節を触知し悪性腫瘍が疑われたため,ステロイドを投与せずに精査を進めたところ,転移を伴う卵巣癌が発見された.姑息的に子宮付属器切除術を行った直後より,CK値と両上眼瞼の浮腫,四肢の浮腫性紅斑の改善を認めた.しかし,筋症状に変化なく皮膚症状も寛解には至らず,ステロイド投与を必要とした.悪性腫瘍の手術後に改善したとする皮膚筋炎の報告は多いが,ステロイドが投与されている例も多く,詳細は不明である.自験例と教室例での検討では,手術に伴う侵襲や麻酔などの因子が症状の改善に関与している可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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