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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻13号

2007年12月発行

文献概要

症例報告

MRI所見が合致しなかったG群溶連菌による壊死性筋膜炎の1例

著者: 五味方樹1 満山陽子1 堀田隆之1 福田知雄1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1051 - P.1053

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要約 78歳,男性.左下腿から足背に著明な熱感,腫脹が出現し,足背にも広範な紫斑局面が拡大した.さらに呼吸困難を伴ったため,緊急入院となった.皮膚所見からは壊死性筋膜炎が疑われたため,初診時および第11病日にMRIを施行した.しかし,筋膜,筋層に病巣の波及を認めず,また抗生剤投与で速やかな全身状態の改善が得られたため,当初は壊死性筋膜炎を否定し,蜂窩織炎として加療した.全身状態はその後も安定していたが,足背の壊死が徐々に進行したため,壊死性筋膜炎と診断し,切開,テブリードマンを施行した.血液,局所培養からはG群溶連菌が検出された.MRIは壊死性筋膜炎と蜂窩織炎の鑑別に有用であるとされているが,自験例ではMRI所見と臨床的重症度には乖離がみられ,これが壊死性筋膜炎の診断を遅らせる原因となった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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