要約 70歳,女性.既往歴に糖尿病,高脂血症,子宮筋腫がある.15年前より左上肢に7個の自覚症状のない小結節に気付き,最近,小結節が右上肢,前頸部にも出現してきた.液体窒素による凍結療法は無効であった.初診時2006年11月,左肘頭周囲,右上肢,前頸部に赤褐色,弾性硬の小結節が多発していた.皮膚生検組織のHE染色では,真皮上層から中層にかけて比較的境界明瞭な線維性腫瘍を認めた.特殊染色では,α-SMA,Desmin,Vimentin陽性,Masson trichrome染色では赤色,elastica van Gieson染色では黄色に染色された.以上より,多発性皮膚平滑筋腫と診断した.
参考文献
1) 石原政彦:平滑筋腫;最新皮膚科学大系, 第13巻, 中山書店, p114, 2002
2) 安藤二平:日皮会誌24:756, 1924
3) 矢島千穂, 他:皮膚臨床41:1382, 1999
4) Reed WB, et al:Acta Derm Venereol (Stockh).53:409, 1973