臨床皮膚科61巻3号

2007年03月発行

症例報告

高齢者に発症した肉芽腫性口唇炎の1例

著者： 山下史記¹ 植木理恵¹ 池田志斈²

所属機関： ¹順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター皮膚科 ²順天堂大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲：P.210 - P.213

要約　74歳，女性．当科初診1年前より上口唇の発赤・腫脹が出現した．他院にてステロイド薬の内服，外用などで治療されたが，症状が改善しないため当科を受診した．顔面神経麻痺，舌の変化は認められなかった．血中ACEは低値であった．上口唇皮膚の病理組織所見では真皮に巨細胞，類上皮細胞よりなる肉芽腫性の変化がみられた．臨床症状と併せ，肉芽腫性口唇炎と診断した．金属貼布試験を施行したところ，Co，Ni，Znで陽性となった．トラニラストの内服を行ったところ，発赤・腫脹が消退した．また，併せて歯科にて歯科金属の除去を行った．本症の本邦報告例の解析では金属貼布試験の陽性例が多く，また本症の高齢発症は比較的稀であった．

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