icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

症例報告

長期治療を要したPasteurella multocidaによる皮膚感染症の1例

著者: 水谷公彦1 近藤章生1 馬渕智生1 梅澤慶紀1 太田幸則1 松山孝1 小澤明1

所属機関: 1東海大学医学部専門診療学系皮膚科学

ページ範囲:P.329 - P.332

文献購入ページに移動
要約 63歳,男性.初診の1週間前,草刈りをして右手を誤って受傷した.腫脹してきたため6日後に近医を受診したが,症状増悪のためその翌日に当科を受診した.右手関節より遠位に軽度熱感を伴う発赤,腫脹を認めた.初診時検査で糖尿病が判明した.3日後には腫脹はさらに増強し,皮下に波動を触れ,切開排膿した.膿よりPasteurella multocidaが同定された.症状の改善に約2か月を要した.今回,1991~2004年までに本邦で報告されたPasteurella multocida皮膚感染症について集計したところ,その平均治療期間は20.3日であった.21日以上加療を必要とされた症例を集計(自験例を含め11例)し検討した.その結果,免疫能の低下を生じる基礎疾患を有するものにおいては,治療期間が長期化することを念頭に置き,合併症に注意しながら注意深い診療を行うことが必要と思われた.

参考文献

1) 荒島康友:MB Derma45: 15, 2001
2) 荒島康友, 他:感染症誌67: 791, 1993
3) 大灘嘉浩, 他:整形外科55: 419, 2004
4) 池野史典, 他:皮膚臨床44: 1129, 2002
5) 豊福一朋, 他:皮膚臨床41: 723, 1999
6) 馬渕智生, 他:皮膚臨床45: 547, 2003
7) 川崎君王, 他:診療と新薬31: 1395, 1994
8) 小金平容子, 他:皮膚病診療25: 1227, 2003
9) 真田聖子, 他:皮膚臨床44: 807, 2002
10) 鈴木伸吾, 他:皮膚臨床43: 1115, 2001
11) 蛭田志真子, 他:皮膚病診療24: 381, 2002
12) 北島拓弥, 他:皮膚病診療14: 147, 1992
13) 矢田 毅, 他:感染症誌65: 1365, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?