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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻4号

2007年04月発行

文献概要

症例報告

橋本病にみられた脛骨前粘液水腫の1例

著者: 楠瀬智子1 檜垣祐子2 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2東京女子医科大学付属女性生涯健康センター

ページ範囲:P.336 - P.338

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要約 44歳,女性.2年前に発症した橋本病で乾燥甲状腺末(チラーヂン(R))100mg/日内服中であった.初診の4か月前より両側下腿前面に隆起性局面が出現し,同時期より両眼球突出があったため,自己判断で乾燥甲状腺末を50mg/日に減量した.その後も皮疹の拡大を認めるため,当科を受診した.初診時は,両下腿前面に弾性硬の境界明瞭な浮腫性局面を認めた.組織学的には,真皮全層が浮腫となり,膠原線維間に淡い好塩基性物質が沈着していた.沈着物質は,アルシアンブルー染色で淡青色に染色され,酸性ムコ多糖と考えた.血液検査では,FT3,FT4は正常範囲であったが,TSHは低値であり,甲状腺刺激抗体(TSAb),TSH受容体抗体(TRAb)は高値であった.その後,乾燥甲状腺末を75mg/日に変更し,皮疹部にはステロイド外用を開始し,皮疹は徐々に縮小してきている.

参考文献

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12) 紫芝良昌:医学のあゆみ178: 311, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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