要約 Acute generalized exanthematous pustulosis (AGEP)は薬剤摂取後,出現する高熱,小膿疱を有する浮腫性紅斑やびまん性の潮紅を特徴とする疾患である.検査所見では好中球優位な白血球増加,皮膚病理組織学的所見では角層下あるいは表皮内膿瘍などが認められる.抗生物質やCa拮抗薬などの薬剤に起因して発症するため,薬疹の1つとして捉えられている.原因薬剤中止で比較的短期間に治癒するものの,AGEPの所見は細菌感染症に類似するため,薬疹と気づかれずに原因薬剤が投与され続けて重篤化することがある.この特異な臨床像の形成にはinterleukin-8(IL-8)を産生するリンパ球の関与が示唆されている.
雑誌目次
臨床皮膚科61巻5号
2007年04月発行
雑誌目次
特集 最近のトピックス2007 Clinical Dermatology 2007
1. 最近話題の皮膚疾患
自己炎症性疾患―特徴的な皮膚症状を伴う遺伝性周期熱症候群
著者: 谷崎英昭 , 神戸直智 , 西小森隆太 , 金澤伸雄
ページ範囲:P.13 - P.16
要約 自己抗体の存在や自己反応性T細胞の関与から,獲得免疫系の異常として自己免疫疾患(autoimmune diseases)を捉えることができるのに対して,自己炎症性疾患 (autoinflammatory diseases)は自然免疫系の異常に基づく疾患群と考えられる.筆者らは,若年発症サルコイドーシスとCINCA症候群の解析を契機として,自然免疫にかかわる遺伝子の異常に基づく稀な疾患である自己炎症性疾患に興味を抱いたが,日常診療のなかでしばしば遭遇する疾患のなかにも,膠原病関連疾患や炎症性角化症など感染症を思わせる皮疹を呈するものの,起因菌が同定されない疾患は少なくない.これら疾患では,微生物感染などにより自然免疫にかかわる因子が活性化され,自己炎症性疾患と同様の病態が生じている可能性もあると考えられる.自己炎症性疾患の解明が進むことで,難治性炎症性皮膚疾患の病態解明につながる契機となるのではと期待される.
ATRAによる陰囊潰瘍の1例
著者: 新出真理子 , 入澤亮吉 , 宮崎香理 , 木内章裕 , 坪井良治
ページ範囲:P.17 - P.19
要約 急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)に対するall trans retinoic acid (ATRA)投与により陰囊潰瘍が発生した症例を報告する.初診時現症では陰囊に激痛を伴う黒色壊死組織が固着した潰瘍を多発性に認めた.病理組織所見としては潰瘍部に出血,壊死,著明な好中球浸潤が認められた.ATRA内服は継続しながら,5日間プレドニゾロン30mg/日を投与し,炎症は軽快し,約2か月で上皮化した.ATRAによる分化誘導療法は,高い完全寛解率によりAPLに対する初回寛解導入療法として定着しているが,白血球増多に伴い,発熱,胸水貯留,呼吸困難などを認めるATRA症候群が出現することがある.ATRA症候群と陰囊潰瘍は一般には異なるものとされているが,合併例もあるため,ATRA症候群の一症状の可能性も否定できない.
白人のbasal cell carcinoma
著者: 佐藤佐由里 , 岡島加代子 , 松木裕貴 , 水嶋淳一 , 大槻マミ太郎
ページ範囲:P.21 - P.24
要約 Basal cell carcinoma (BCC)は,日本人では高齢者の顔面に好発する皮膚悪性腫瘍で,黒褐色の小結節を伴うが,白人の場合,必ずしもそうではなく,臨床診断に苦慮することがある.当科では白人のBCCを2003年より10例経験した.日本人と白人の臨床像および患者背景の違いについて考察する.当院の症例は,皮膚色から淡紅色の局面あるいは結節を呈した.年齢は30~40歳台が8例であった.部位は多発例が2例あり,顔3個,体幹7個,上肢2個であった.臨床像からは日光角化症,Bowen病,脂腺増殖症との鑑別を要したが,ダーモスコピーで樹枝状血管が認められ,診断に有用であった.白人のBCCは日本人の場合よりも発症年齢が若く,黒色の小結節を伴わない臨床像を呈することから,臨床診断のみでの確定は困難な場合があり,ダーモスコピーの活用と病理検査が重要と考えた.
歯性感染症
著者: 佐藤貴浩 , 篠塚修
ページ範囲:P.25 - P.28
要約 潜在する歯性感染が感染病巣となって生じた慢性色素性紫斑の例を報告するとともに,歯および歯周組織の感染症が原因ないし悪化要因となりうる皮膚疾患について解説する.歯性感染症は皮膚科医にとって見落としがちな感染症の1つであり,難治例や治療抵抗性の皮膚疾患において感染病巣を検索する際,歯性感染症も対象の1つに加えることが望ましい.
2. 皮膚疾患の病態
炎症性疾患と紛らわしいリンパ腫
著者: 松村由美 , 宮地良樹
ページ範囲:P.30 - P.33
要約 炎症性疾患と紛らわしい臨床症状を呈するリンパ腫をよく似た症状を呈する炎症性疾患と比較しながら,3パターン提示する.①眼瞼浮腫を呈した「節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型」と「肉芽腫性眼瞼炎」,②眼瞼や眉間の紅斑を呈した「末梢性T細胞リンパ腫,分類不能型」と「皮膚筋炎疑い」,③皮下板状硬結と結節性紅斑様皮疹を呈した「皮下脂肪織炎様リンパ腫」と「(悪性リンパ腫との診断には至らない)atypical lymphocytic lobular panniculitis」の3つを取り上げ,初期像からリンパ腫を疑うことの必要性を述べる.
急性感染性蕁麻疹
著者: 奥野公成 , 角田孝彦
ページ範囲:P.34 - P.36
要約 「急性感染性蕁麻疹」の疾患概念は,1946年Bivings1)が細菌感染に伴って蕁麻疹様皮疹を呈した小児22例においてその名を記載したことから始まる.本邦では1996年に角田がその診断条件を提唱した2).また,2004年には塩原がウイルスによる急性蕁麻疹について述べた3).角田が述べた狭義の急性感染性蕁麻疹の機序は,補体の活性化から起こった肥満細胞からの血管透過性因子放出,皮膚への好中球浸潤が主に考えられている4).感染症一般の観点からはT細胞受容体Vβ35),IL-66),toll-like-receptor (TLR)7)などが急性蕁麻疹の病態では注目されている.
壊死性筋膜炎―起炎菌・進行度・予後の関係について
著者: 山崎修 , 久山陽子 , 岩月啓氏 , 長尾洋
ページ範囲:P.37 - P.41
要約 壊死性筋膜炎は浅在筋膜を含む皮下組織を主病変とし,強い全身症状とともに広範囲の皮膚壊死を伴う重症の皮膚軟部組織感染症である.
最近のSJSとTEN―病態と動向
著者: 山根裕美子 , 相原道子 , 池澤善郎
ページ範囲:P.42 - P.45
要約 Stevens-Johnson症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)は表皮および粘膜上皮の壊死性傷害を本態とする疾患である.その壊死性傷害の機序としては,①細胞傷害性T細胞(CD8+Tcell)による直接的細胞傷害,②IFNγ,TNFαをはじめとした種々のサイトカインによる傷害,③Fas/Fasリガンド系を介した傷害が考えられている.さらに最近,AzukizawaらによりTENに酷似した病態を示すトランスジェニックマウスが作製された.この動物モデルは,表皮由来の抗原を薬剤アレルギーのモデル抗原と見立てた,ケラチノサイトを標的とする自己免疫疾患モデルであるが,その病態は基本的にTENと同じであり,TENが表皮ケラチノサイトの自己抗原と結合した薬剤由来の蛋白,ペプチドがCD8+Tcellに認識されると生じるという仮説に合致する.また,本邦におけるSJSとTENの最近の動向をまとめた.
抗核抗体の意義
著者: 小川文秀 , 小村一浩 , 佐藤伸一
ページ範囲:P.46 - P.49
要約 抗核抗体の同定は,膠原病の病型・分類,活動性の評価・予後の推定など臨床上有用である.その同定は一般的には蛍光抗体間接法やELISA法にて行われる.しかし,これらの方法では同定できないものの,臨床的に重要な抗核抗体は多数存在する.これらの抗核抗体は特殊な方法である免疫沈降法でしか検出できないものの,その臨床的特徴を知っておけばその存在を推定できることも多い.本稿ではそれらの抗体の臨床的な特徴について概説する.
3. 新しい検査法と診断法
FDEIA(food-dependent exercise-induced anaphylaxis)―抗グリアジンIgE抗体の検出
著者: 森田栄伸 , 河野邦江 , 松尾裕彰
ページ範囲:P.52 - P.55
要約 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)は食物アレルギーの一病型で,食物抗原に対するIgEを介した食物アレルギーであるが,通常,原因食品を摂取しただけでは症状はみられず,確定診断は必ずしも容易でない.今回筆者らは,小麦が原因となるFDEIA患者の主要抗原であるω5-グリアジンと高分子量グルテニンのIgE結合エピトープを含む合成ペプチドを抗原としたCAP-FEIAを作製し,従来使用されている小麦およびグルテンを抗原としたものと比較した結果,合成ペプチドCAP法は従来の抗原を使用したものより,感度・特異度ともにきわめて優れていることを明らかにした.
ダーモスコープの機種選択と教本
著者: 田中勝
ページ範囲:P.57 - P.60
要約 ダーモスコピーは診断に役立つだけでなく,患者にも好印象を与える.診療には軽くて使いやすいダーモスコープが理想的である.各機種の特徴を理解したら,財布と相談してどれを買うか決める.ハンディな観察用としては,ダームライトDL-100,デルタ20,エピライトエイトなどがある.アナログのダーモスコピー撮影用カメラはダーマフォトセットのみである.デジタル画像を保存できる撮影機種には,デルタ20とキャノンパワーショット A540のセット,ダームライトフォト,ダームライトPro ⅡとソニーサイバーショットW50のセット,Derma9500,デルマウォッチャーなどがある.ダーモスコピーを学ぶための日本語の教科書は,カラーアトラスとCD-ROM付きのハンドブックの2冊がすでに出版されている.
皮膚科医のための深部静脈血栓症(DVT)の診断
著者: 松本正隆 , 重松宏
ページ範囲:P.62 - P.66
要約 DVT(deep vein thrombosis)とは,下肢静脈(特にヒラメ筋静脈),大腿深静脈,総腸骨静脈など深在性の静脈内で血液凝固による血栓が生じる病態をいう.静脈血栓は深部静脈のみならず表在静脈でも発症するが,圧倒的に下肢のDVTの頻度が高く,時にPTE(pulmonary thromboembolism)を併発して致死的となり,経過とともに浮腫,静脈瘤,疼痛,潰瘍などの静脈血栓後症候群に至ることが多いため,静脈血栓症のなかでも特に重要な疾患となっている.
従来,DVTの画像診断法として足背静脈からの順行性血管造影が広く行われてきた.下肢静脈を選択的に造影することで客観性のある画像が得られ,深部静脈内の血栓の存在,側副路の発達,逆流の有無など病態の把握が容易である反面,侵襲性の高い検査である.近年,画像診断の発達により,下肢静脈においても超音波,CT,MRを用いた非・低侵襲検査が広く行われるようになってきている.特に超音波検査がDVT診断の第一診断手技となりつつある.
皮膚灌流圧測定による虚血性下腿潰瘍の評価法
著者: 河合幹雄 , 三原祥嗣 , 水野敏子 , 秀道広
ページ範囲:P.67 - P.70
要約 閉塞性動脈硬化症などの重症虚血肢に対する非侵襲的な血流評価法として,レーザードプラー法による皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)が利用されている.SPPは皮膚の毛細血管レベルの血流を評価することができ,足部や足趾の局所の血流の評価に適している.SPP値30mmHgを目安として,血行再建の必要性や安全な切断部位の決定,デブリードマンの時期の決定が可能である.足関節上腕血圧比では測定が困難な浮腫や動脈石灰化症例に対しても有用である.足趾血圧,経皮酸素分圧と同様,信頼性の高い検査方法であることに加え,測定部位に制限が少ないこと,手技の簡便さ,再現性の高さも有している.四肢の重症虚血肢の評価にはきわめて有用な検査方法と考えられる.
4. 皮膚疾患治療のポイント
蕁麻疹治療にステロイドは必要か?
著者: 秀道広
ページ範囲:P.72 - P.76
要約 蕁麻疹の薬物治療の基本はヒスタミンH1受容体拮抗薬の内服である.また,アナフィラキシーショック,蕁麻疹様血管炎,遅延性圧蕁麻疹ではそれぞれステロイドの内服が併用されるのが一般的であり,特発性の蕁麻疹でも,ほかの治療に抵抗性でQOLの障害の大きな例においてはステロイドを必要とすることもある.しかし,慢性蕁麻疹の治癒までの期間を短縮する効果についてのエビデンスはなく,ステロイドの使用に際しては,正しい病型診断と適切な重症度の評価に基づいて治療の必要性が判断されていること,またステロイド以外の治療薬もしくは治療法が十分検討されていることが重要である.
白斑に対する医療と美容からのアプローチ
著者: 坪井良治 , 提橋義則
ページ範囲:P.79 - P.82
要約 尋常性白斑の治療としては,副腎皮質ホルモンの外用療法や理学的療法(PUVA療法,narrowband-UVB療法など)が一般的であるが,これらの治療法に抵抗性を示す症例や色調むらが残る症例が多い.このため,医学的治療に加えて美容的に白斑部位をメーキャップ化粧品や角層着色剤を用いて隠すことも必要となる.今回,新たに開発された白斑カバー専用ファンデーションを尋常性白斑患者23名に使用させたところ,高いカバー効果と優れた使用感が得られ,Skindex-16によるQOL変化も有意に向上した.尋常性白斑では,医学的治療とともに美容からのアプローチが重要であることを強調したい.
乾癬における短期・低用量ネオーラル(R)治療
著者: 橋爪秀夫
ページ範囲:P.83 - P.86
要約 われわれは重症でない,しかし治療してもなお皮疹の残存する軽症および中等症乾癬患者において,QOL改善を目的として,短期・低用量ネオーラル(R)(シクロスポリンA:CyA)療法を行って検討した.患者の8割以上が6週間までにPASIスコア50%以上の改善を認め,またそのうちの7割はCyA投与終了後も3か月以上もの間,PASI値の低下が維持された.同時にSkindex16を用いたQOL調査でも,CyA投与終了時にQOLの改善を認め,また中止後2か月以上も改善したままであった.これらの結果から,本治療法は有用であると考えられた.われわれは本治療を,患者のQOLの向上を図るための1つの治療戦略として提案する.
乾癬特異的QOL評価指標―PDI日本語版と治療評価
著者: 福地修 , 中川秀己 , 長谷川友紀
ページ範囲:P.87 - P.91
要約 慢性疾患の治療においては,患者の視点に立ち,生命予後を延長するだけではなく,健康感を高め,QOLを向上させる治療法の選択が重要視されている.乾癬治療の質を向上させるためには,患者自身による皮膚症状,治療効果の評価を把握することにより,患者個々の属性を十分に考慮した治療の必要性を明らかにすることが重要である.そのための手段として,乾癬特異的QOL評価尺度であるPDI (Psoriasis Disability Index)を使用することにより,患者満足度の高い,患者の視点に立った治療が実現できると考えられる.
皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインの使い方
著者: 古賀弘志 , 斎田俊明
ページ範囲:P.93 - P.98
要約 メラノーマ,有棘細胞癌,基底細胞癌,乳房外Paget病に関する診療ガイドラインが2007年4月以降,日本皮膚科学会,日本癌治療学会などのホームページに公開される.患者もこの診療ガイドラインを利用する状況が想定されるので,皮膚科医は本ガイドラインの内容を正確に理解し,適切なアドバイスを与えることができるよう準備しておかなければならない.特にその作成過程を知ることは,本診療ガイドラインの理解を深めるとともに,今後作成される他領域のガイドラインの質を評価する際に役立つものと考える.単にガイドラインに沿った診療を目指すというのではなく,ガイドラインを患者と情報を共有するための道具としてとらえ,これを基盤としたうえで,各患者に最も適した診療方針を選択するという態度が必要となろう.
陰圧閉鎖療法による慢性皮膚潰瘍の治療
著者: 館正弘
ページ範囲:P.99 - P.102
要約 陰圧閉鎖療法は創面全体を閉鎖環境に置き,創面を持続的あるいは間歇的な陰圧で管理する新しい創傷治療法である.創傷での新生血管増生を促進し,組織内の酸素分圧を上昇させ,肉芽増生を促進する.感染巣やコロナイゼーションしている創部に対しては,細菌や細菌の外毒素を直接排出させる作用もある.難治性皮膚潰瘍面をデブリードマン後に植皮手術を行うことがあるが,そのような場面でも陰圧閉鎖療法を併用することにより,従来では困難であった植皮の生着が可能となった.また,創縁同士を引き寄せる作用があるため,創収縮も促進される.さらに創部を陰圧で固定するので,胸壁欠損などのように動揺する創や,腸管損傷を含む腹部外傷創などでも有用性が高い.特殊な形態の創部としてポケットを有する褥瘡や糖尿病性皮膚潰瘍に対して,ポケット切開を行うことなく創壁同士を接着させることも可能である.
陥入爪のVHO式矯正法―超弾性ワイヤーを含めて
著者: 河合修三
ページ範囲:P.105 - P.110
要約 陥入爪の保存的治療法にはさまざまな方法があり,有効ではあるものの,確実性,適応症例,交換頻度などの点で問題があった.一方,本稿で紹介するVHO式矯正法は,従来の保存的治療法の問題点の多くを解決した優れた方法である.従来の保存的方法で対応できないため,不必要な手術を選択せざるをえなかった症例の多くは,VHO式矯正法の施術により手術を回避することができるようになった.しかし,爪郭に肉芽組織の増生を認める症例では,VHO式矯正法でも治療が困難であり,補助治療を駆使した対応が必要であるが,困難な症例にはフェノール法などの手術法が有用である.
ストーマケアに学ぶ肛門周囲皮膚炎の管理
著者: 小柳礼恵 , 真田弘美
ページ範囲:P.113 - P.117
要約 皮膚炎症状が出現すると,外用薬が処方されることが一般的である.しかし,肛門周囲皮膚は排泄物による化学的刺激,清潔ケアに付随した物理的刺激に伴い外用薬の効果が得られないことが多くある.WOC看護領域におけるスキンケアは,「排泄物から皮膚障害を予防し,健康な皮膚を取り戻すこと」を目的としている.基本ケアは,ストーマケアのパウチングを基本とし排泄物を皮膚に接触させないこと,皮膚保護剤の使用により皮膚pHを緩衝することである.今回は,WOC看護を皮膚科治療に応用することにより,最良な治療環境を作る方法を解説する.
皮膚科医が使う抗うつ薬
著者: 羽白誠
ページ範囲:P.119 - P.122
要約 皮膚科で抗うつ薬を使用する医師はまだ少ない.しかし,皮膚症状に抑うつ状態が密接に関係している例がしばしばみられる.こういった場合に抗うつ薬を皮膚科的治療に併用すると改善される場合を経験する.また難治性の痒みや激しい搔破,自傷性皮膚炎にも抗うつ薬は有用である.皮膚科医が使う抗うつ薬としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などがよい.
ステロイド性骨粗鬆症ガイドライン
著者: 岡田奈津子
ページ範囲:P.123 - P.126
要約 2004年に本邦での「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン」が策定された.対象は経口ステロイドを3か月以上投与中あるいは投与予定の18歳以上の症例である.骨粗鬆症に対する薬物治療が必要とされるのは,第1に既存の脆弱性骨折がある場合,ステロイド治療中に新規骨折が生じた場合であり,次に骨折がなくても骨密度の若年成人平均値(young adult mean:YAM)が80%未満の場合である.既存骨折がなく,YAM値が80%以上であってもプレドニゾロン換算で5mg/日以上を3か月以上使用する場合には薬物治療の介入が必要となる.薬物治療の第一選択薬はビスホスフォネート製剤,第二選択薬は活性型ビタミンD3,ビタミンK2とされている.
5. 皮膚科医のための臨床トピックス
最近の若者の性行動
著者: 市川誠一
ページ範囲:P.128 - P.131
要約 厚生労働省エイズ動向調査によれば,わが国のHIV/エイズ患者報告数は2004年以降1,000人を超える状況となった.特に,日本国籍HIV感染者の15~24歳および25~34歳の年齢層では,男性同性間感染の割合は70%を超える状況であり,若年の同性愛者層への予防啓発が望まれる.
一方で,性感染症サーベイランス報告は,性器クラミジア感染症,淋菌感染症が男女ともに若い世代で広がっていることを示している.性行動に関する調査は,高校生の初交経験率がこの10年間で上昇し,特に女子における変化が著しく,男子よりも高い経験率となったことを示している.若年層では性感染症予防への意識が低いことを示す報告もあり,性感染症は若年層において今後も広がるものと思われる.
性への関心が高く,性経験が上昇している若い年齢層へのHIV/性感染症予防の啓発は,わが国では異性間,同性間ともに効果的な取り組みがなされていない現状にあると考える.
チベットでのアトピー検診
著者: 澄川靖之 , 片山一朗
ページ範囲:P.132 - P.133
要約 アトピー性皮膚炎の病態には環境因子が関与していると考えられている.環境の差異がアトピー性皮膚炎の有症率に影響を及ぼすかどうかを中国チベット自治区ラサ市の小学1年生を対象に皮膚科検診を行い,調査した.アトピー性皮膚炎の有症率は,日本では7.4~15%程度とされているが,チベット自治区ラサ市では0%であった.現在,日本とチベットでは環境が大きく異なるが,今後生活習慣・社会が変化し,日本に近づくことが予想される.環境の変化と有症率の遷移について経時的に調査を行っていくことで,アトピー性皮膚炎と環境因子の関係が明らかにできるのではないかと思われた.
中国・内モンゴル自治区の慢性ヒ素中毒フィールド調査
著者: 藤本亘 , 吉田貴彦
ページ範囲:P.135 - P.137
要約 中国・内モンゴル自治区において慢性ヒ素中毒のフィールド調査を行った.調査した村にある個人のポンプ井戸(深井戸)全314か所の平均ヒ素濃度は0.133ppmで75.8%がWHOの基準0.01ppmを上回っていた.検診を受けた住民の多数に手掌・足底角化症,色素異常を認めた.皮膚症状の重症度は現時点での生体中ヒ素濃度とは相関が弱く,直近5年間の平均ヒ素濃度と強い相関が認められた.改水の1年後,手掌・足底角化症,色素異常は改善する傾向を認めた.
Hansen病の現状
著者: 尾崎元昭
ページ範囲:P.138 - P.139
要約 Hansen病は抗酸菌Mycobacterium leprae(らい菌)の感染症で,主に皮膚・末梢神経を侵す慢性疾患である.感染・発症・病像には菌と個体の免疫応答が深く関係し,最近は免疫遺伝子学的解明が進んでいる.らい菌の遺伝子はpseudogeneが多く,生存と増殖を宿主細胞(組織球,Schwann細胞など)に依存する.遺伝子変異の研究から菌の型別区分や薬剤耐性検査が行われ,疫学や化学療法に用いられている.治療は多剤併用療法が原則で,治療開始時から障害予防に配慮する必要がある.日本人新患は激減し,Hansen病は稀少疾患となっているが,日本人ならびに外国人新患の診断と治療,回復者医療が皮膚科医の課題となっている.
SJS/TENをめぐる医療裁判の概況―不適切な診断・治療の司法責任が今,問われている
著者: 飯島正文
ページ範囲:P.141 - P.143
要約 投薬時の説明義務違反を認定した1996(平成8)年の高知医科大学TEN事例の高松高裁判決を契機として,近年,投薬時の説明あるいは適切な診断・治療を怠ったとして医師の司法責任を問うSJS/TEN事例の医療裁判が増加してきている.医薬品が適正に使用された場合には処方医師に民事上の重過失責任はなく,医薬品機構の副作用被害救済制度に委ねるべきである.初期症状を看過した,原因薬の中止や適切な治療が大幅に遅れた,などの事例で医師の司法責任を認定した裁判所の判断が続いている.SJS/TENの早期診断・治療に果たす皮膚科専門医の役割がいよいよ重要である.
皮膚科における医療事故事例―2006年6月4日の日本皮膚科学会教育講演より
著者: 村田勝
ページ範囲:P.144 - P.145
要約 最近の医療訴訟の発生状況・判決傾向を紹介する.このような現状を認識したうえで皮膚科における医療事故事例を解説し,何が問題点・原因であったかを併せて考えていく.最後に初期対応時,責任の有無が事前に想定できれば,適切な初期対応が可能となるので,法的賠償責任(民事責任)の考え方と責任有無の成立要件を解説する.
皮膚科在宅医療の現状と問題点
著者: 種田明生
ページ範囲:P.146 - P.148
要約 日本臨床皮膚科医会の調査で高齢者施設・自宅在宅患者はいずれも皮膚疾患有病率70%程度であり,皮膚科在宅医療の重要性が浮かび上がってくる.各地域で皮膚科在宅医療に関する情報公開を行っているが,現状では在宅皮膚疾患患者の多くを内科などの他科の医師が診ており,在宅医療を行う皮膚科医は少ない.今後,皮膚科在宅医療が重要な分野となるであろうこと,より多くの皮膚科医が在宅に目を向けることが望まれる.
女性専用外来皮膚科
著者: 佐藤八千代 , 漆畑修
ページ範囲:P.150 - P.151
要約 当院では2003年9月から女性専用外来を開設している.女性専用外来の全体像と2006年8月末までに女性専用外来皮膚科を受診した患者124人についてまとめた.
学校保健における皮膚科医の活動
著者: 佐々木りか子
ページ範囲:P.152 - P.154
要約 学校保健の場に皮膚科医が参加することは,これまでにはほとんどなかった.しかし,最近の学校における諸問題に専門医の知識や助力が不可欠であるとして,文部科学省と日本医師会が事業を展開したことにより,皮膚科医も学校医や相談医として勤務する地域も出てきた.皮膚科医は,学校伝染病,アトピー性皮膚炎,化粧やピアスの接触皮膚炎,紫外線対策,性感染症などの疾患をいかに予防するかを養護教諭のみならず,児童や保護者に教育する場を広げるために,ますます活動を積極的に広げようとしている.
子どもの虐待
著者: 岡田あゆみ
ページ範囲:P.155 - P.157
要約 子どもの虐待は,身体的虐待,ネグレクト(養育放棄),性的虐待,心理的虐待の4つに分類され,医療者には早期発見と通告の義務がある.近年の脳科学の進歩により,虐待による心的外傷体験が子どもの脳に不可逆的な影響を与える可能性が示唆されており,子どもの健康を守るために,医療者は常に鑑別診断として子ども虐待を念頭に置く必要がある.また,2004年度の児童虐待防止法改正により,家庭内暴力(domestic violence:DV)の目撃も心理的虐待として通告が義務づけられ,成人の診療においても子ども虐待への配慮が必要になった.実際の臨床においては,虐待予備群への対応として,アトピー性皮膚炎(AD)患児の保護者への支援の重要性を述べた.また,虐待症例を報告し,対応の要点と成長曲線の利用について紹介した.
後発医薬品の適正使用
著者: 政田幹夫 , 中村敏明
ページ範囲:P.158 - P.160
要約 2003年に出された日医総研ワーキンググループの「後発医薬品についての基礎研究」のレポートのなかに“ジェネリック医薬品企業に対する要望として,品質の確保・安定供給・情報提供の充実などが今以上に求められる”と報告されているが,2006年9月12日の医師会の報告など,3年間でいかほどの企業努力・行政指導で解決されたのか? “ゾロ”というイメージを拭い去るエビデンスが提示されたのか? 物質特許は切れたが,製法特許・製剤特許などは切れておらず,後発品は先発品と“似て非なるもの”として認識し,同じものではなく似ているものとして,適正に使用することが望まれる.
画像ファイルの整理法
著者: 小川純己
ページ範囲:P.161 - P.163
要約 画像ファイルの整理のためには,①画像を1つのフォルダに保存する,②カルテ情報を必ず写し込む,の2点が大原則である.発展形として,ファイル名を撮影日時に変換する,カルテ番号ごとのフォルダに整理するなどがある.市販の画像管理ソフトを使うと,画像ファイルに対して,さまざまな患者情報をキーワードとして関連づけることができる.
Derm.2007
アトピー性皮膚炎患者でもある皮膚科医の生態
著者: 片桐一元
ページ範囲:P.41 - P.41
乳児期に発症し,現在も3~4回/週は外用が欠かせない.家内と喧嘩していても,薬を塗って欲しくて頭を下げる.自分で塗るのは大変である.特に夏場は,汗が出てくるので,薬の効果が半減する気がする.増悪因子は,日光,当直(糊のきいたシーツにかぶれる),ストレス,治療で使うDPCP(?)など多彩である.学生の終わり頃から併発した日光過敏のおかげで,いつも日陰ばかり歩いている.それでも,子どもが小さいときには,年に一度くらいは海水浴に出かけた.きっちり2日後に全身にひどい湿疹性病変が出現するため(今も野球をするたびに同じような状況になる),タイミングをはかってリンデロン(R)を6錠内服する.しっかり抑えるには最低5日くらいは内服しないと難しい.早めにやめると,抗原が残っているのか,発症が少しずれた形で皮疹が出現する.しかし,このときは悪いことばかりではない.熱いシャワーを浴びると,天にも昇る良い気持ちである.
また,原因がはっきりしなくても,顔面の皮疹が悪化することはしばしばある.家内に痒いところに薬を塗るように頼むと,自分では頭が痒いと思っていても,本当に悪いところは顔や首,特に耳周囲から前額のようである(顔が痒いと思いたくないらしい).夜中に痒がってうるさいので,マイザー(R)・ヒルドイド(R)mixかデルモベート(R)を外用される(枕元に常備している).私は一瞬躊躇するが,容赦なくべたべたと塗られてしまう(月に3~4日程度).家内は皮疹ではなく私のうるささを目安に,自分が安眠できるために適切な外用薬を選択するのである.strongestのステロイドを塗られるので,時々videomacroscopeで毛細血管拡張を観察する.確かに,結構きている!しかし,痒さには勝てず,また,人前に赤い顔ばかり晒せないので,抵抗しながらも受け入れている.本当はこんな治療法がよいのではないかとの思いも入り交じっている.プロトピック(R)も好んで使う.私のなかでの適応は,日々の皮膚の小修復である.皮膚がしっとりすべすべになり,とても具合がよい.反面,本当に悪化したときに使うと,刺激感がかなりつらく,結局,主治医(家内)に容赦なく,ステロイドを外用されることとなる.そのほか,いらいらすると,耳介あるいは耳介上方の側(後)頭部を激しく掻破する.この現象は,アトピー性皮膚炎の子ども(患者)にも共通のようだが,理由はわからない.このような自分の経験(感覚)と比べながら診療を行うが,難治な患者さんには何が起きているのか,わかりかねることも多い(自分の体に起きていることでもわからないことが多いが).私よりも皮膚炎が起きやすい体質の人が重症になるのであろうと想像するが,自分では意識せずに行っている治療のコツなどを,まだまだ伝え切れていないのかもしれないし,もっと原因に近いところから治療できる方法を見つけなければ,と思う.
いやな季節が
著者: 竹中秀也
ページ範囲:P.60 - P.60
皮膚疾患には,季節性があります.アトピー性皮膚炎は,夏には汗により,冬には乾燥により増悪します.春になると,昆虫たちも目覚めて虫刺症や毛虫皮膚炎などがみられ始め,秋には冬眠前なのかダニ刺症が多くなります.梅雨の頃には,私にもできますが,汗疱をよくみます.夏季には,微生物の発育に好条件のため,白癬や癜風などの真菌症,伝染性膿痂疹や蜂窩織炎などの細菌感染症が増加します.ただし,伝染性膿痂疹は暖房の影響か真冬でも見かけることが多くなっているようです.冬季には,空気の乾燥から皮脂欠乏性湿疹や手湿疹が多くみられ,暖房がこれに追い打ちをかけているようです.いったい何人のひとに,冬場は石鹸を控えましょうと説明していることでしょう.
大学病院で,皮膚外科や皮膚潰瘍治療を専門にやっているせいで,閉塞性動脈硬化症(ASO),Buerger病や強皮症の患者さんを診ることが多いのですが,秋から冬にかけて気温の低下とともに潰瘍,壊疽が進行するのをよくみます.10月の体育の日辺りから,5月の連休明けまでが影響があるようです.このような患者さんには,一冬で指・趾や足を失ったり,激しい疼痛のため夜も眠れなかったりと受難の季節です.とにかく手足を冷やさないことが一番ですと説明しています.プロスタグランディンの点滴をしたり,いろいろな鎮痛薬や院内製剤のリドカインクリームを処方したり,時にはお灸,入浴剤,ニコチンパッチや薬酒などを勧めたりもしますが,治療に難渋することが多いというのが実情です.外用薬では基剤のためかゲーベン(R)クリームが疼痛には多少ましなようです.今は晩秋,紅葉がきれいな京都ですが,これらの患者さんを思うと憂鬱な時期でもあります.
スタンフォードのすばらしき講演
著者: 相原道子
ページ範囲:P.66 - P.66
「次回から,ラボのミーティングはドイツ語でしよう!」と,声高らかにProf. Bloomeは英語で,そして次にドイツ語で叫んだ.1989年秋,場所はカリフォルニア州スタンフォード大学医学部の骨髄移植グループの研究室,私を含めた10人の研究スタッフは思わず顔を見合わせた.20年来米国に住んでいるドイツ人のProf. Bloomeがそう考えるのも無理のない話で,ラボは彼以外にドイツ人4人,ドイツ系の名字をもつアメリカ人1人,1年前に旧西ドイツのMax-Planck-InstituteのProf. Kleinの推薦でやって来た私,そしてさらに近々もう1人ドイツ人が加わる予定だという.幸い,中国系アメリカ人の2人が猛反対してくれたおかげでこの提案が通ることはなかったが,英語で淡々とミーティングをこなす彼が,ドイツ語になるとまるで舞台で主役を演じているような語り口になることと,この提案が無関係だったとは思えない.自分の研究への情熱をうまくラボの人間に伝えるにはどうしたらよいか?彼の悩みだったのではないだろうか.
当時,スタンフォード大学医学部では毎週のように特別講演があり,国内外の著明な研究者の話を聴くことができた.教授になったばかりの新進気鋭の研究者もいれば,ノーベル賞学者が登場することも珍しくなかったが,いずれもカジュアルな服装で自分の今行っている研究のエッセンスについて,若い研究者や学生を相手に熱っぽく語りかけた.その会場は100人分以下の椅子しかない小さな学生用の講義室で,壁際だけでなく演者の立っているすぐ近くまで座り込んだ人々で埋まり,講演者はさながら未開の地を訪れた伝道師のような存在にみえた.日々,よれよれのGVHDモデルマウスをつくっていた私は,内容の理解はともかくもその雰囲気が大好きで毎回参加していた.そこで聴衆を引きつけるのに大事なことはいかに上手に話をまとめるかではなく,いかに自分の情熱の嵐のなかに聴衆を巻き込むかである,ということを知った.帰国後すぐに,私が最も感動した研究者の一人が日本の学会で講演するというので喜んで参加したところ,前方の席の大半が空席の大きな会場で静かに講演が行われ,あの熱に浮かされたような,一種集団催眠にかかったような講演会の雰囲気はもうなかった.学会の事務局長を何度か努めるにあたり,本当は多くの立ち見の出るような小さめの会場での特別講演を企画したいと思いながら,いまだに実現していない.
ベルリン回想
著者: 黒川一郎
ページ範囲:P.70 - P.70
今年の4月,20年ぶりに,かつて留学していた地であり,当時壁で囲まれていた西ベルリンの下宿を訪れた.下宿は留学当時とあまり変わりなく,懐かしさはあったが,自分が予想していた感慨深さはあまり蘇ってこなかった.留学当時,冬期は東ドイツでは石炭を燃料に使っていて,その煙で喉をやられたのが懐かしい思い出の一つである.
首都ベルリンは大きく変貌した.東西を隔てていた壁はなくなり,立派な首相官邸府ができ,隔世の感がある.街はどこに行っても,道路工事,ビルの建築ラッシュであり,ドイツの活力を実感した.かつて西ベルリンの中心の繁華街であったクーフュルステンダムはさびれ,街の中心は旧東ベルリンに移動した.
老兵は死なず
著者: 滝脇弘嗣
ページ範囲:P.76 - P.76
四半世紀を勤務医として過ごし,故郷で開業することになった.オーソドックスな紙カルテにする予定である.電子カルテは入出力にイライラし,パラパラめくって経過を鳥瞰図的に眺められない.不満が多いシステムだが,若い医師に好評なのは,彼らにとってパソコン(PC)が生活の一部になっており,操作に何の抵抗もないからであろう.ところが,オンラインの文献検索に頼りきり,要領はよくても幅広い勉強を怠っている若手医師や,教科書も持たず,インターネットから切り貼りして木に竹をついだようなレポートを書いてくる学生が増えてきた.PC頼みでは,図書館で雑誌を積み上げて調べゆくうちに,多くの興味ある論文に出会って読みふけり,結局何を調べにきたのかも忘れてしまう,あの楽しさ(?)や,ゆっくり流れていく時間も味わえまい.かく言う筆者も,紙テープを外部記憶に使った古い時代に“電子計算機”に魅せられた.PCの黎明期には,わずか32キロバイトのメモリと格闘しつつ,ゲームやCGのソフトを書いて原稿料や賞品稼ぎをしていた.創造主になれた楽しい一時期であったが,この趣味が皮膚計測工学という自分の専門に繋がるとは予想もしていなかった.しかし写真に音楽にと,PCが家電化されて感動も失せ,通信機能の向上で雑用が増すばかりで,その挙げ句の電子カルテである.メニューやツールバーで埋まった画面を見ると,猿の知能実験(教えられた順番でレバーを引けば,ごほうびにリンゴが出てくる)を思い出す.「電子カルテ? プッ」となめていたものの,なかなかリンゴが出てこない.教授のように医員に口述筆記させ,自らはPCに触れもせず面目を保つ,というわけにもいかぬ.得意げな(哀れんだ?)若い医師に乞うて手順を教わり,悪態をつきながら今日もマウスを動かしている.間もなく自由な紙カルテに戻れるが,長らく診てきた多くの患者さんを置き去りにして県外へ去ることが気がかりである.身勝手をわび,泣かれ,もらい泣きする辛さがすでに始まっている.実は万策尽きた方もいて,後ろめたいが少し安堵しつつ,後任にお願いすることになる.
新たな夢を追って!
著者: 赤松浩彦
ページ範囲:P.82 - P.82
ニキビとの出会いは1986年,関西医科大学皮膚科学教室に入局したときにさかのぼる.当時,朝田康夫教授(現・名誉教授,朝田皮膚科院長)の専門がニキビであったからである.さらに西嶋攝子先生(現・西嶋皮膚科院長)や留学先のベルリン自由大学皮膚科学教室,当時の主任教授であったオルファノス先生などからご指導をいただき,いつの間にか専門がニキビとなった.2002年より藤田保健衛生大学医学部皮膚科学講座にお世話になり,松永佳世子教授のもと,小生の夢の一つである“ニキビ撲滅”に向けて今も日々研鑽している.
一方,最近新たな興味もでてきた.それは再生医療である.倫理面を考慮したうえで多能性幹細胞を制御できるようになれば,医療は飛躍的に進歩・発展できる可能性がある.そのためには自己の多能性幹細胞を効率よく分離し,特殊な培養技術によりさまざまな細胞に分化誘導した後,再度自己へ移植する技術の開発が課題となる.これらの工程における新技術の開発のためにも“分離培養”,“分化誘導”,“移植”を含む3つの技術を確立することが重要である.“分離培養”に関しては,p75NTRを利用した皮下脂肪組織からの多能性幹細胞の分離技術を開発し,すでに特許出願した.“分化誘導”に関しては,p75NTRを利用して得られた皮下脂肪組織からの多能性幹細胞の脂肪細胞,線維芽細胞,色素細胞,神経細胞などへの分化誘導を確認している.まだまだ臨床応用までへの道のりは遠いが,社会貢献の可能性を考えれば努力する価値ある研究だと思う.
海外研究留学で取り戻したもの
著者: 橋本剛
ページ範囲:P.91 - P.91
大学病院の皮膚科臨床医として勤務して12年目,幸いなことに海外留学の機会をいただき,基礎研究に没頭する貴重な3年間(2006年1月帰国)を経験することができました.昨今の極端な人手不足の折,わがままを許して下さった関係者の方々に深く感謝しております.
さて,臨床医が海外留学して基礎研究を行う意義については,多くの立派な先輩諸氏によりさまざまな角度から語られています.その点について私がここで新たに付け加えられるようなことなど何もないのですが,それら本筋の話とは少し離れたところで,これも留学の効果の一つといえるかもしれないな,と思うことがありました.それは帰国して数日後の夕暮れ時,勤務再開前に様子をちょっと見ておこうと思い病棟を訪れたときのことでした.留学中,病院のお世話にならずに済んだ私には,3年ぶりの病院の光景でした.エレベーターを降りると,そこは蛍光灯に照らされた真っ白く長い一直線の廊下で,病室番号を示すカードがずらりと並び,白衣の医師や看護師が行き来していました.開いているドアから病室をそっとのぞくと,カーテンで仕切られたベッドが並び,病衣を着た患者さんが横たわって天井を見ています.ベッドサイドには疲れた表情の付き添いの人が座っていたり,花瓶に生けられた花,折り紙の鶴,子どもの写真などが置いてあったりします.窓からは新潟県最大の繁華街,古町(ふるまちと読みます)の明かりが遠くに見えていました.それは毎日見慣れていたはずの病棟のありふれた光景でしかありませんでしたが,そのときの私の目には何か異質な場に見えて,着ていた白衣が急に重くなっていくような感覚に襲われました.同じ白衣を着て行うにしても,それまで3年間どっぷりと浸かっていた核酸や蛋白などの物質や培養細胞,あるいは実験用マウスなどを相手にした基礎研究とは異なり,人間と向かい合う臨床の現場では自分の思考や行動の結果が直ちに目の前の人間に影響を及ぼすという,責任の重大さに改めて気付かされたのです.皮膚科入局直後の緊張感や不安,決意といったものが一気に蘇った瞬間でした.
TQMと皮膚科
著者: 安元慎一郎
ページ範囲:P.98 - P.98
TQMという用語(略語)をご存知でしょうか.EBM (evidence-based medicine)やNBM (narrative-based medicine)という語句も,数年前の出始め(はやり始め)にはその正確な意味を十分に把握できなかった時期がありましたが,今では広く認識されて医師の常識となっているように思います.最近,学内でTQMセンター設立の機運が高まり,その準備会議に出るようになりました.TQMはtotal quality managementの略で,診療の総合的な質を高めるための管理を行う部門あるいはやり方を指すものです.多くの病院では安全対策,褥瘡対策,感染対策,クリニカル・パス,栄養管理(nutrition support team:NST)などの各種委員会あるいはチームが作られていますが,例えば褥瘡の治療には栄養管理が必須であることなど,相互の連絡が重要な場合が多いと思われます.そのような各部門の統合的な施策やマニュアルの立案,周知活動とその実行を管理する部門としてTQMセンターを独立させる病院が出てきており,一定の業績が上がっているとのことです.
今まで各診療科単位で行ってきた大学病院での診療が,近年は臓器別診療センターやこのTQMセンターのように横の連絡が密となって,自分の外来や病棟だけではなく,いろいろな場所で皮膚科医の存在価値を示していくことが重要になってきたと感じています.また,皮膚科のなかでのTQM(診療,教育,研究の内容と管理のあり方)も明確にし,わかりやすくすることが,今後若い医師に皮膚科の魅力を説明するときにも大切なこととなっていくと思います.
「どんずあな,け」
著者: 中野創
ページ範囲:P.103 - P.103
読者の皆様は「どんずあな,け」の意味がわかりますか?
ここ青森県津軽地方で医師として仕事をするためには,いわゆる津軽弁を理解する必要があります.日本の津々浦々にユニークな方言がありますが,津軽弁もそれらに負けない独特の語彙を有しています.体の各所を現す言葉には,じゃんぼ,なずぎ,ぼんのご,おどげ,よろた,あぐど,どんず,はど,などがあります.それぞれ,髪,額,項,頤,太腿,踵,尻,陰茎の意味です.濁点が多いのが特徴でもありますが,それを上手くフィルターにかけると語源が推測できる語もあります.「なずぎ」は「脳(なずき)」,「ぼんのご」はうなじの窪みを表す「盆の窪(ぼんのくぼ)」,「おどげ」は「頤(おとがい)」,「あぐど」は『東海道中膝栗毛』にも用例が見いだされる,かかとを示す「踵(あくと)」がそれぞれ転訛したものと考えられます.
水虫とメラノーマ
著者: 森田和政
ページ範囲:P.110 - P.110
ある日の外来中,内科病棟に糖尿病で入院している高齢女性の水虫を診察してほしいという依頼が来た.話を聞くと,以前から水虫があったが,たいした治療はしていなかったとのことであった.足をみると,両足趾から踵,両側爪に典型的な白癬病変があった.鱗屑を採り,KOH法による検鏡を行うと,白癬菌を認めた.抗真菌薬の内服が必要かな?と考えながら,よく足趾をみると,右第2,3足趾間が少し黒いように思えた.足趾間を広げてみると,しみ出し,びらん,濃淡あり,母指頭大の黒色の色素性病変であり,臨床的には典型的なメラノーマであった.黒いのがなかなかとれないと気になっていたようであったが,水虫の一部と思っていたようであった.水虫の治療の相談に来たのに手術が必要だと言われて,さぞ驚かれたことと思うが,幸いセンチネルリンパ節生検では転移がなく,局所の手術で済んだ.以前,何かの本で,足のメラノーマの患者には角化型の足白癬を合併している場合をよく経験するという,御高名な先生の文章を読んだことを思い出した.水虫の治療で放射線を当てていると発癌することもあろうが,この患者さんの曝露歴はなかった.そこで,メラノーマと水虫の関連についてMEDLINEを検索した.黒癬とメラノーマ,あるいは黒色調の爪真菌症とメラノーマが間違えやすいという趣旨の論文はいくつかあったが,足白癬とメラノーマ発症の関係についての文献は見つけられなかった.しかし,真菌のなかにはアスペルギルスのように発癌物質を作るものもいるので,全く無関係ともいえないような気もした.また,白癬による慢性炎症が発癌を誘発しやすいという状況もあるかもしれない.あるいは,角化型足白癬の存在を許すような免疫状態が,腫瘍免疫の低下と関係しているかも?といった,こじつけまがいの考えも思いつく.いずれにしても,患者レベルでは,メラノーマさえも水虫と勘違いして放置してしまうことがありうるので,ドクターが水虫の診察をきちんと行っていく必要性を再認識した.
アトピー性皮膚炎疫学調査雑感
著者: 竹中基
ページ範囲:P.122 - P.122
われわれの教室では,長崎大学の新入生および4年生を対象に,健康診断時にアトピー性皮膚炎(AD)健診と称して,ADの疫学調査を行っている.その調査結果は学会発表などに譲るとして,調査を行っての雑感をいくつか.
雑感1:新入生健診では,毎年1,700人前後を4日間かけて健診するので,午前と午後それぞれ200~300人が対象となる.その数を2人で診るのだが,慣れている私が6割以上の数をこなすことになる.健診はADを有していない学生に対しては短時間で終わるが,ADの学生には皮膚症状の検討とアンケート調査を行っており,だいたい10分程度が必要である.ゆっくり診て学生がたまってしまうと他の科に迷惑がかかり,また健診終了時間も決まっているので,ゆっくりもできない.その結果,2時間以上ずーっと,比較的早口で同じような内容をしゃべり続けるという事態になる.日常診療で数時間話し続けるという事態もないわけではないが,その際は違う内容を話しているのでそう辛くない.だが,ほぼ同じ内容の繰り返しを数時間続けるのは,結構辛いものがある.最後には酸欠からか頭もボーッとしてきて,学生に「お大事に」といってしまい,苦笑される始末であった.
メラノサイト研究へのお誘い
著者: 鈴木民夫
ページ範囲:P.126 - P.126
皮膚科学における研究分野の勢力図を見てみると,少なくともここ数年間はimmunologyやkeratinocyte biology, signal transductionなどの領域の仕事がplenary sessionの過半数を占め,非常に活発な分野になっている.そしてなによりも,これらの分野に新しい優秀な先生方が次々に登場している.一方,色素異常症やmelanocyte biologyの分野は研究者人口が漸減しており,例えば日本皮膚科学会支部総会でメラノサイト関連の発表をしても,聴衆の集まりは悪く閑散としていることが多い(それでも,同じ顔ぶれの先生方が少しでも盛り上げようと,いつもと同じような質問をしてくださるご配慮には心温まるものがある).ちょうどそれは,私が学生生活を過ごした東北地方の小都市で中日ドラゴンズの話をしても,誰も私の話に乗ってこず,気がついたら,周りの人たちは勝手に別の話題で盛り上がっていたという,たびたびの経験に相通じるものがある.ところが,同小都市でもドラゴンズの話題で数時間にわたって大いに盛り上がることがある.年に1回開かれる愛知県人会の席である.ドラゴンズが優勝しようものなら,さらに大変で,会の始まりから終わりまで,ドラゴンズ優勝シーンを放送するラジオ放送がエンドレスで大音響とともに流され,参加者は乾杯を重ねる.
では,メラノサイト研究ではどうであろうか.やはり年1回開かれる日本色素細胞学会年次学術大会がある.メラノサイト研究者が一堂に会してお互いの1年間の成果を発表し合い,意見を交換する学会である.皮膚科の学会ではやや寂しい思いをしているわれわれ皮膚科医メラノサイト研究者にとって,どちらを向いてもメラノサイトばかりの楽しい集まりである.医学部基礎講座,理学部,農学部,研究所,企業,そして皮膚科のメラノサイトに興味をもつ研究者によって構成され,その構成員の多様性を反映するように演題の内容も幅広い.ダンゴ虫やホヤから始まり,爬虫類,鳥類,そしてヒトの肝斑,メラノーマに至るまでのありとあらゆるメラノサイトに関する最先端の発表がなされる.会員数約250名の小さな学会で,どの参加者も気取りがなく,アットホームで和やかな雰囲気である.しかし最近,問題が生じている.会員の平均年齢が毎年ほぼ1歳ずつ上昇していることである.そこで老若男女の皮膚科医の先生方(気持ちさえ若ければ歓迎!)を日本色素細胞学会にぜひお誘いしたい.日頃の臨床から離れて年に一度で結構ですから,ぜひ一緒にダンゴ虫や熱帯魚のメラノサイトについて想いをめぐらせませんか? 目の前の肝斑やメラノーマも,ひょっとすると違って見えるようになるかもしれません.
感覚の違い
著者: 伊藤泰介
ページ範囲:P.131 - P.131
数年前にドイツに留学していたころ,日本とのいくつかの違いに気づいたので挙げてみたい.その一つが「清潔」に対する感覚である.日本人は世界的にみても風呂好きであり清潔を好む国民であると自覚しているかと思うが,同じ清潔を好むドイツ人とは感覚が異なる点がある.まずはスリッパである.近年ではドイツでもきれいな絨毯が敷いてあったりすると靴を脱いで生活したり,また他人の家に入るときに靴を脱いで入ることがある.しかしスリッパはない.他人の履いたスリッパを,自分が靴下の上から,または素足で履くということに抵抗があるのだ.私はそのことにはっと気づき,帰国後は温泉旅館などスリッパの共用には違和感を生じるようになった.この生活習慣が日本人の足白癬の感染拡大に一役買っている可能性がある.また,ドイツ人は湿気にとても敏感である.私がアパートを借りる際,家主からカビには気をつけてくれと言われていた.月に一度,清掃会社が自宅の掃除をして異状があると家主に通告されるのだが,ある日一枚の注意書きが自宅に置いてあった.よく読んでみると,どうもカビが生えているというのだ.どこなのだ?と思い,家主に聞くと,風呂場の窓枠のパッキンのほんの数ミリの1つの黒点を指差して,こういうカビを生やさないように!としっかりと指摘された.確かに留学先の大学はとてもきれいであった.日本であればまったく見逃される程度のものである.帰国後,ふとあちこちの施設や勤務先の窓枠を見ると,びっしりとカビが生えている.帰国後しばらくはこうしたものが気になっていた(今はまた慣れてしまったが…).
最近,外来にイタリア人がしばしば点滴にくるのだが,彼は必ず椅子に座ったまま点滴をする.その理由は,日本の病院の外来のベッドはシーツを毎回交換しないからだそうだ.イタリアでは診察ごとにシーツを交換するという.そういえば,ドイツの病院では,患者が退院するとベッドごと地下の滅菌室に移動させ,すべてを滅菌後,ベッドごとビニールに覆われて病室に戻ってきていた.皮膚疾患には湿気や不衛生によって影響を受けるものがあるが,生活習慣や感覚の違いによっても影響を受けているような気がする.
日本人のスキンケアと化粧
著者: 菊地克子
ページ範囲:P.134 - P.134
皮膚を清潔に保ち,柔らかで潤いのある皮膚を保ち,紫外線傷害から皮膚を防御するのがスキンケアの3つの柱であるのはいうまでもないが,皮膚にとってスキンケアは一種の予防医学なのだと思う.
10年ほど前,米国フィラデルフィアに2年半ほど暮らした.ひどく貧乏であったこともあり,化粧はほとんどしなかった.周囲のアメリカ人も素顔の人ばかりで違和感はなかった.夏季に外出するときにサンスクリーンを塗り,冬季に乾燥したときにワセリンを塗った.メイクをしないからメイク落としも不要,洗顔も体を洗う洗浄剤を少々使って洗っただけだった.そんな単純な安上がりのケアでも皮膚はなんともならなかった.ただ,心は貧しくなった.機能的ではあったが,官能が満足しなかったからだと思う.
英語と環境因子
著者: 澤村大輔
ページ範囲:P.137 - P.137
読者の皆さん方の多くも,英語で論文を書いたり発表したり,外来で外国人の患者さんとコミュニケーションを取ることに苦労したことがおありと思います.でも,最近の若い方は英語が上達したとつくづく思います.なかには本当に,native speakerのようにかっこよく喋る方もいます.最近,講演で聞いたところによると,言語の流暢さは,その言語を3歳までに,遅くとも6歳ぐらいに習得していないと確立されないとのことでした.私は,本物の英語に接したのが留学したときで,すでに30歳をすぎていましたので,自分の英語に流暢さがないのに納得できます.
私が留学したアメリカのラボは,特に人種のるつぼで,フィンランド人をボスに,アメリカ人,イギリス人,ドイツ人,フランス人,中国人,韓国人などなど,10種類以上の言語が飛び交うラボでした.私の観察では,だいたい来た当時は,みんな英語がうまくしゃべれません.しかし,なぜかヨーロッパの連中はすぐぺらぺらしゃべるようになり,だいたいとり残されるのがアジア系で,そのなかでも中国人の上達が早く,本当にだめなのが韓国人と日本人です.これは,ヨーロッパの言語はだいたいのルーツが同じであるし,主語の後に述語がすぐくる中国語を喋る中国人も学習しやすいのでしょう.ハングル語と日本語は述語が最後に来る構造で,脳がそのような思考に固定されると聞いたことがありますが,なるほどです.これも,私の英語が上達していない理由の一つでしょう.
ビーバーの睾丸
著者: 加藤雪彦
ページ範囲:P.148 - P.148
最近の患者さんは,治療内容を検索サイトで調べ,医局のホームページから医師の専門分野をダウンロードして持参する.患者さんの知識量は,インターネットが普及とともに急速に増え,われわれ医師は説明がとても楽になった.
確かに,われわれが自由に接することのできる知識量は増えた.2002年カリフォルニア大学バークリー校の研究者の調査によれば,印刷物,フィルム,磁気および光学式媒体のデータ,情報は2002年の1年間だけで,アメリカ議会図書館の50万個分であり,これは太古以来,人類が話した言葉の総量に等しい1)という.そして,現在その速度はさらに増している.
論文の味付はReviewer様々
著者: 久保田由美子
ページ範囲:P.160 - P.160
学会などで自分の研究成果を自信をもって堂々と発表されている若い先生方や,ライフワークとしての研究生活を喜々として話される先輩先生方を目にするたび,うらやましくもあり自分が情けなくなることしきりですが,自分の能力の範囲内でできることからやっていこうと思う今日この頃です.しかし,自分の能力以上のことには限界があり,特に診断困難例や治療に難渋している例など,身近な人たちで解決できないときは,その道の専門家の先生方の集まる学会などで発表し,お知恵を拝借することにしています.そうすると,自分の考え方は大筋では合っているようだと安心できたり,フロアでも全く相反する意見が出たりして,やっぱりなかなか結論は出ないのだと妙に納得し,また帰って患者さんの皮疹と長くつき合うことになります.そして発表例を論文にするわけですが,何せ結論が出ていないものを論文にしても詰めが甘いわけで,今度はReviewerのお力を借りることになります.現在,RevisedおよびRejectされた原稿を7本ほど抱えていますが,接触皮膚炎などアレルギーの専門のReviewerは実に詳細なコメントを書いて下さるので,大いに勉強になります.学会などで全く反対意見を言われた方に査読が行くと予想通り,剣もほろろにRejectです.特に,定義のあいまいな統一されていないテーマだと実にさまざまな意見をもらい,自分なりに結論を考え何回も提出するのですが,同じ考えのReviewerに当たらない限り延々とwondering paperとなります.しかし,たまにはEditorが興味をもってくださると,こちらが知らない間にスマート化された論文が印刷されており,別刷請求が来て初めて自分の論文が掲載されていたことを知ったこともありました.というわけで,自分の手元にmajor changeの必要な論文や,minor changeでも大幅な書き直しが必要なものがたまりすぎると,自分の考え方がおかしいのではないかと思い,血圧が上がり頻脈にもなるわけです.しかし,ごくたまにですが,診断がついたり,治療方針が決まったりで,安心し満足された表情の患者さんをみると,血圧も下がり脈も正常になります.臨床経験も長くなると,患者さんたちが先生であり,教科書であることがよくわかります.今後もできる範囲で少しずつやっていこうと思っています.まずは再投稿論文を1つずつ片付けていきましょう.
皮膚科医のポジショニング
著者: 三砂範幸
ページ範囲:P.163 - P.163
われわれが佐賀市で主催した西部支部学術大会が,無事成功裡に終了した.西部だけでなく,他支部からも多数ご参加いただき,参加者の先生方には,この場をお借りして心から感謝申し上げる次第である.学会を終えて,達成感と満足感の一方で,異様に湧き上がってくる虚脱感と対峙しながら,今この原稿を書き始めたところである.
さて,看護部と共同で定期的に褥瘡回診を行っているが,その主な仕事の一つが褥瘡患者のポジショニングのチェックである.私は,その“ポジショニング”という言葉が気に入っている.ポジショニングは,褥瘡の予防・治療において,外用療法よりも重要な位置を占めるが,その言葉の響きがよい.ポジショニングを国語辞典で調べると,「さまざまなスポーツにおいて,相手の攻守の型を見抜いて,自分の位置をとること」と記してある.昔,“王シフト”なるものがあったのを思い出す.この言葉の応用範囲は広く,マーケティング用語にもなっている.「ターゲット市場の顧客の心のなかに独自の位置(ポジション)を占めるために,企業が自社の提供物とそのイメージをデザインすることを指す:ポジショニングは自社を他社と差別化するために行う」とマーケティング用語集に,その言葉の意味として記載してあった.
--------------------
あとがき フリーアクセス
著者: 川島眞
ページ範囲:P.166 - P.166
「臨床皮膚科」の増刊号である本誌は,「最近のトピックス」をお伝えする役割を担っているわけであるが,編集会議を開催してから,執筆者に依頼し,出版にこぎつけるまでに1年近い時が流れる.1年後にも「トピックス」であり続ける話題を選び出すのは,案外容易ではない.あまりに斬新な話題は,1年後には否定されてしまっている可能性もあり,見極めるにはさまざまな角度からの検討も必要である.編集者間の意見が割れることもしばしばあり,各編集者の推薦があればそのまま採用ということにはならない.もちろん,複数の編集者から推薦され,すぐに採択される間違いのない「トピックス」もあるが,各自自分の得意領域のみに目を配っているだけでは不十分であり,学会にはもちろん予習して臨み,めぼしい演題を聞いては内容を確認し,他の雑誌に投稿されていないかも検討して,推薦することになる.よって,編集会議が終われば,すぐに次号へ向けての取材が始まるわけである.
皮膚科領域の邦文雑誌も数が増えてきている.それぞれが「トピックス」を取り上げようと競い合っている.その中で本誌が異彩を放つことができるとすれば,それはもちろん執筆者の素晴らしさによるところが大きいが,手前味噌だが編集者のセンスと努力も何がしかの貢献はしているのではと思う.
基本情報

バックナンバー
78巻13号(2024年12月発行)
78巻12号(2024年11月発行)
78巻11号(2024年10月発行)
78巻10号(2024年9月発行)
78巻9号(2024年8月発行)
78巻8号(2024年7月発行)
78巻7号(2024年6月発行)
78巻6号(2024年5月発行)
78巻5号(2024年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2024 Clinical Dermatology 2024
78巻4号(2024年4月発行)
78巻3号(2024年3月発行)
78巻2号(2024年2月発行)
78巻1号(2024年1月発行)
77巻13号(2023年12月発行)
77巻12号(2023年11月発行)
77巻11号(2023年10月発行)
77巻10号(2023年9月発行)
77巻9号(2023年8月発行)
77巻8号(2023年7月発行)
77巻7号(2023年6月発行)
77巻6号(2023年5月発行)
77巻5号(2023年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
77巻4号(2023年4月発行)
77巻3号(2023年3月発行)
77巻2号(2023年2月発行)
77巻1号(2023年1月発行)
76巻13号(2022年12月発行)
76巻12号(2022年11月発行)
76巻11号(2022年10月発行)
76巻10号(2022年9月発行)
76巻9号(2022年8月発行)
76巻8号(2022年7月発行)
76巻7号(2022年6月発行)
76巻6号(2022年5月発行)
76巻5号(2022年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022
76巻4号(2022年4月発行)
76巻3号(2022年3月発行)
76巻2号(2022年2月発行)
76巻1号(2022年1月発行)
75巻13号(2021年12月発行)
75巻12号(2021年11月発行)
75巻11号(2021年10月発行)
75巻10号(2021年9月発行)
75巻9号(2021年8月発行)
75巻8号(2021年7月発行)
75巻7号(2021年6月発行)
75巻6号(2021年5月発行)
75巻5号(2021年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2021 Clinical Dermatology 2021
75巻4号(2021年4月発行)
75巻3号(2021年3月発行)
75巻2号(2021年2月発行)
75巻1号(2021年1月発行)
74巻13号(2020年12月発行)
74巻12号(2020年11月発行)
74巻11号(2020年10月発行)
74巻10号(2020年9月発行)
74巻9号(2020年8月発行)
74巻8号(2020年7月発行)
74巻7号(2020年6月発行)
74巻6号(2020年5月発行)
74巻5号(2020年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020
74巻4号(2020年4月発行)
74巻3号(2020年3月発行)
74巻2号(2020年2月発行)
74巻1号(2020年1月発行)
73巻13号(2019年12月発行)
73巻12号(2019年11月発行)
73巻11号(2019年10月発行)
73巻10号(2019年9月発行)
73巻9号(2019年8月発行)
73巻8号(2019年7月発行)
73巻7号(2019年6月発行)
73巻6号(2019年5月発行)
73巻5号(2019年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2019 Clinical Dermatology 2019
73巻4号(2019年4月発行)
73巻3号(2019年3月発行)
73巻2号(2019年2月発行)
73巻1号(2019年1月発行)
72巻13号(2018年12月発行)
72巻12号(2018年11月発行)
72巻11号(2018年10月発行)
72巻10号(2018年9月発行)
72巻9号(2018年8月発行)
72巻8号(2018年7月発行)
72巻7号(2018年6月発行)
72巻6号(2018年5月発行)
72巻5号(2018年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
72巻4号(2018年4月発行)
72巻3号(2018年3月発行)
72巻2号(2018年2月発行)
72巻1号(2018年1月発行)
71巻13号(2017年12月発行)
71巻12号(2017年11月発行)
71巻11号(2017年10月発行)
71巻10号(2017年9月発行)
71巻9号(2017年8月発行)
71巻8号(2017年7月発行)
71巻7号(2017年6月発行)
71巻6号(2017年5月発行)
71巻5号(2017年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2017 Clinical Dermatology 2017
71巻4号(2017年4月発行)
71巻3号(2017年3月発行)
71巻2号(2017年2月発行)
71巻1号(2017年1月発行)
70巻13号(2016年12月発行)
70巻12号(2016年11月発行)
70巻11号(2016年10月発行)
70巻10号(2016年9月発行)
70巻9号(2016年8月発行)
70巻8号(2016年7月発行)
70巻7号(2016年6月発行)
70巻6号(2016年5月発行)
70巻5号(2016年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2016 Clinical Dermatology 2016
70巻4号(2016年4月発行)
70巻3号(2016年3月発行)
70巻2号(2016年2月発行)
70巻1号(2016年1月発行)
69巻13号(2015年12月発行)
69巻12号(2015年11月発行)
69巻11号(2015年10月発行)
69巻10号(2015年9月発行)
69巻9号(2015年8月発行)
69巻8号(2015年7月発行)
69巻7号(2015年6月発行)
69巻6号(2015年5月発行)
69巻5号(2015年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2015 Clinical Dermatology 2015
69巻4号(2015年4月発行)
69巻3号(2015年3月発行)
69巻2号(2015年2月発行)
69巻1号(2015年1月発行)
68巻13号(2014年12月発行)
68巻12号(2014年11月発行)
68巻11号(2014年10月発行)
68巻10号(2014年9月発行)
68巻9号(2014年8月発行)
68巻8号(2014年7月発行)
68巻7号(2014年6月発行)
68巻6号(2014年5月発行)
68巻5号(2014年4月発行)
増刊号特集 最近のトピックス2014 Clinical Dermatology 2014
68巻4号(2014年4月発行)
68巻3号(2014年3月発行)
68巻2号(2014年2月発行)
68巻1号(2014年1月発行)
67巻13号(2013年12月発行)
67巻12号(2013年11月発行)
67巻11号(2013年10月発行)
67巻10号(2013年9月発行)
67巻9号(2013年8月発行)
67巻8号(2013年7月発行)
67巻7号(2013年6月発行)
67巻6号(2013年5月発行)
67巻5号(2013年4月発行)
特集 最近のトピックス2013 Clinical Dermatology 2013
67巻4号(2013年4月発行)
67巻3号(2013年3月発行)
67巻2号(2013年2月発行)
67巻1号(2013年1月発行)
66巻13号(2012年12月発行)
66巻12号(2012年11月発行)
66巻11号(2012年10月発行)
66巻10号(2012年9月発行)
66巻9号(2012年8月発行)
66巻8号(2012年7月発行)
66巻7号(2012年6月発行)
66巻6号(2012年5月発行)
66巻5号(2012年4月発行)
特集 最近のトピックス2012 Clinical Dermatology 2012
66巻4号(2012年4月発行)
66巻3号(2012年3月発行)
66巻2号(2012年2月発行)
66巻1号(2012年1月発行)
65巻13号(2011年12月発行)
65巻12号(2011年11月発行)
65巻11号(2011年10月発行)
65巻10号(2011年9月発行)
65巻9号(2011年8月発行)
65巻8号(2011年7月発行)
65巻7号(2011年6月発行)
65巻6号(2011年5月発行)
65巻5号(2011年4月発行)
特集 最近のトピックス2011 Clinical Dermatology 2011
65巻4号(2011年4月発行)
65巻3号(2011年3月発行)
65巻2号(2011年2月発行)
65巻1号(2011年1月発行)
64巻13号(2010年12月発行)
64巻12号(2010年11月発行)
64巻11号(2010年10月発行)
64巻10号(2010年9月発行)
64巻9号(2010年8月発行)
64巻8号(2010年7月発行)
64巻7号(2010年6月発行)
64巻6号(2010年5月発行)
64巻5号(2010年4月発行)
特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010
64巻4号(2010年4月発行)
64巻3号(2010年3月発行)
64巻2号(2010年2月発行)
64巻1号(2010年1月発行)
63巻13号(2009年12月発行)
63巻12号(2009年11月発行)
63巻11号(2009年10月発行)
63巻10号(2009年9月発行)
63巻9号(2009年8月発行)
63巻8号(2009年7月発行)
63巻7号(2009年6月発行)
63巻6号(2009年5月発行)
63巻5号(2009年4月発行)
特集 最近のトピックス2009 Clinical Dermatology 2009
63巻4号(2009年4月発行)
63巻3号(2009年3月発行)
63巻2号(2009年2月発行)
63巻1号(2009年1月発行)
62巻13号(2008年12月発行)
62巻12号(2008年11月発行)
62巻11号(2008年10月発行)
62巻10号(2008年9月発行)
62巻9号(2008年8月発行)
62巻8号(2008年7月発行)
62巻7号(2008年6月発行)
62巻6号(2008年5月発行)
62巻5号(2008年4月発行)
特集 最近のトピックス2008 Clinical Dermatology 2008
62巻4号(2008年4月発行)
62巻3号(2008年3月発行)
62巻2号(2008年2月発行)
62巻1号(2008年1月発行)
61巻13号(2007年12月発行)
61巻12号(2007年11月発行)
61巻11号(2007年10月発行)
61巻10号(2007年9月発行)
61巻9号(2007年8月発行)
61巻8号(2007年7月発行)
61巻7号(2007年6月発行)
61巻6号(2007年5月発行)
61巻5号(2007年4月発行)
特集 最近のトピックス2007 Clinical Dermatology 2007
61巻4号(2007年4月発行)
61巻3号(2007年3月発行)
61巻2号(2007年2月発行)
61巻1号(2007年1月発行)
60巻13号(2006年12月発行)
60巻12号(2006年11月発行)
60巻11号(2006年10月発行)
60巻10号(2006年9月発行)
60巻9号(2006年8月発行)
60巻8号(2006年7月発行)
60巻7号(2006年6月発行)
60巻6号(2006年5月発行)
60巻4号(2006年4月発行)
60巻5号(2006年4月発行)
特集 最近のトピックス 2006 Clinical Dermatology 2006
60巻3号(2006年3月発行)
60巻2号(2006年2月発行)
60巻1号(2006年1月発行)
59巻13号(2005年12月発行)
59巻12号(2005年11月発行)
59巻11号(2005年10月発行)
59巻10号(2005年9月発行)
59巻9号(2005年8月発行)
59巻8号(2005年7月発行)
59巻7号(2005年6月発行)
59巻6号(2005年5月発行)
59巻4号(2005年4月発行)
59巻5号(2005年4月発行)
特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005
59巻3号(2005年3月発行)
59巻2号(2005年2月発行)
59巻1号(2005年1月発行)
58巻13号(2004年12月発行)
58巻12号(2004年11月発行)
58巻11号(2004年10月発行)
58巻10号(2004年9月発行)
58巻9号(2004年8月発行)
58巻8号(2004年7月発行)
58巻7号(2004年6月発行)
58巻6号(2004年5月発行)
58巻4号(2004年4月発行)
58巻5号(2004年4月発行)
特集 最近のトピックス2004 Clinical Dermatology 2004
58巻3号(2004年3月発行)
58巻2号(2004年2月発行)
58巻1号(2004年1月発行)
57巻13号(2003年12月発行)
57巻12号(2003年11月発行)
57巻11号(2003年10月発行)
57巻10号(2003年9月発行)
57巻9号(2003年8月発行)
57巻8号(2003年7月発行)
57巻7号(2003年6月発行)
57巻6号(2003年5月発行)
57巻4号(2003年4月発行)
57巻5号(2003年4月発行)
特集 最近のトピックス2003 Clinical Dermatology 2003
57巻3号(2003年3月発行)
57巻2号(2003年2月発行)
57巻1号(2003年1月発行)
56巻13号(2002年12月発行)
56巻12号(2002年11月発行)
56巻11号(2002年10月発行)
56巻10号(2002年9月発行)
56巻9号(2002年8月発行)
56巻8号(2002年7月発行)
56巻7号(2002年6月発行)
56巻6号(2002年5月発行)
56巻5号(2002年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2002
56巻4号(2002年4月発行)
56巻3号(2002年3月発行)
56巻2号(2002年2月発行)
56巻1号(2002年1月発行)
55巻14号(2001年12月発行)
特集 皮膚真菌症の新しい治療戦略
55巻13号(2001年12月発行)
55巻12号(2001年11月発行)
55巻11号(2001年10月発行)
55巻10号(2001年9月発行)
55巻9号(2001年8月発行)
55巻8号(2001年7月発行)
55巻7号(2001年6月発行)
55巻6号(2001年5月発行)
55巻5号(2001年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2001
55巻4号(2001年4月発行)
55巻3号(2001年3月発行)
55巻2号(2001年2月発行)
55巻1号(2001年1月発行)
54巻13号(2000年12月発行)
54巻12号(2000年11月発行)
54巻11号(2000年10月発行)
54巻10号(2000年9月発行)
54巻9号(2000年8月発行)
54巻8号(2000年7月発行)
54巻7号(2000年6月発行)
54巻6号(2000年5月発行)
54巻5号(2000年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 2000
54巻4号(2000年4月発行)
54巻3号(2000年3月発行)
54巻2号(2000年2月発行)
54巻1号(2000年1月発行)
53巻13号(1999年12月発行)
53巻12号(1999年11月発行)
53巻11号(1999年10月発行)
53巻10号(1999年9月発行)
53巻9号(1999年8月発行)
53巻8号(1999年7月発行)
53巻7号(1999年6月発行)
53巻6号(1999年5月発行)
53巻5号(1999年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1999
53巻4号(1999年4月発行)
53巻3号(1999年3月発行)
53巻2号(1999年2月発行)
53巻1号(1999年1月発行)
52巻13号(1998年12月発行)
52巻12号(1998年11月発行)
52巻11号(1998年10月発行)
52巻10号(1998年9月発行)
52巻9号(1998年8月発行)
52巻8号(1998年7月発行)
52巻7号(1998年6月発行)
52巻6号(1998年5月発行)
52巻5号(1998年4月発行)
特集 最近のトピックス1998 Clinical Dermatology 1998
52巻4号(1998年4月発行)
52巻3号(1998年3月発行)
52巻2号(1998年2月発行)
52巻1号(1998年1月発行)
51巻13号(1997年12月発行)
51巻12号(1997年11月発行)
51巻11号(1997年10月発行)
51巻10号(1997年9月発行)
51巻9号(1997年8月発行)
51巻8号(1997年7月発行)
51巻7号(1997年6月発行)
51巻6号(1997年5月発行)
51巻5号(1997年4月発行)
特集 最近のトピックス1997 Clinical Dermatology 1997
51巻4号(1997年4月発行)
51巻3号(1997年3月発行)
51巻2号(1997年2月発行)
51巻1号(1997年1月発行)
50巻13号(1996年12月発行)
50巻12号(1996年11月発行)
50巻11号(1996年10月発行)
50巻10号(1996年9月発行)
50巻9号(1996年8月発行)
50巻8号(1996年7月発行)
50巻7号(1996年6月発行)
50巻6号(1996年5月発行)
50巻5号(1996年4月発行)
特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
50巻4号(1996年4月発行)
50巻3号(1996年3月発行)
50巻2号(1996年2月発行)
50巻1号(1996年1月発行)
49巻13号(1995年12月発行)
49巻12号(1995年11月発行)
49巻11号(1995年10月発行)
49巻10号(1995年9月発行)
49巻9号(1995年8月発行)
49巻8号(1995年7月発行)
49巻7号(1995年6月発行)
49巻6号(1995年5月発行)
49巻5号(1995年4月発行)
特集 最近のトピックス1995 Clinical Dermatology 1995
49巻4号(1995年4月発行)
49巻3号(1995年3月発行)
49巻2号(1995年2月発行)
49巻1号(1995年1月発行)
48巻13号(1994年12月発行)
48巻12号(1994年11月発行)
48巻11号(1994年10月発行)
48巻10号(1994年9月発行)
48巻9号(1994年8月発行)
48巻8号(1994年7月発行)
48巻7号(1994年6月発行)
48巻6号(1994年5月発行)
48巻5号(1994年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1994
48巻4号(1994年4月発行)
48巻3号(1994年3月発行)
48巻2号(1994年2月発行)
48巻1号(1994年1月発行)
47巻13号(1993年12月発行)
47巻12号(1993年11月発行)
47巻11号(1993年10月発行)
47巻10号(1993年9月発行)
47巻9号(1993年8月発行)
47巻8号(1993年7月発行)
47巻7号(1993年6月発行)
47巻6号(1993年5月発行)
47巻5号(1993年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993
47巻4号(1993年4月発行)
47巻3号(1993年3月発行)
47巻2号(1993年2月発行)
47巻1号(1993年1月発行)
46巻13号(1992年12月発行)
46巻12号(1992年11月発行)
46巻11号(1992年10月発行)
46巻10号(1992年9月発行)
46巻9号(1992年8月発行)
46巻8号(1992年7月発行)
46巻7号(1992年6月発行)
46巻6号(1992年5月発行)
46巻5号(1992年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1992
46巻4号(1992年4月発行)
46巻3号(1992年3月発行)
46巻2号(1992年2月発行)
46巻1号(1992年1月発行)
45巻13号(1991年12月発行)
45巻12号(1991年11月発行)
45巻11号(1991年10月発行)
45巻10号(1991年9月発行)
45巻9号(1991年8月発行)
45巻8号(1991年7月発行)
45巻7号(1991年6月発行)
45巻6号(1991年5月発行)
45巻5号(1991年4月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1991
45巻4号(1991年4月発行)
45巻3号(1991年3月発行)
45巻2号(1991年2月発行)
45巻1号(1991年1月発行)
44巻13号(1990年12月発行)
44巻12号(1990年11月発行)
44巻11号(1990年10月発行)
44巻10号(1990年9月発行)
44巻9号(1990年8月発行)
44巻8号(1990年7月発行)
44巻7号(1990年6月発行)
44巻6号(1990年5月発行)
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990
44巻5号(1990年5月発行)
44巻4号(1990年4月発行)
44巻3号(1990年3月発行)
44巻2号(1990年2月発行)
44巻1号(1990年1月発行)
43巻13号(1989年12月発行)
43巻12号(1989年11月発行)
43巻11号(1989年10月発行)
43巻10号(1989年9月発行)
43巻9号(1989年8月発行)
43巻8号(1989年7月発行)
43巻7号(1989年6月発行)
43巻6号(1989年5月発行)
特集 臨床皮膚科—最近のトピックス
43巻5号(1989年5月発行)
43巻4号(1989年4月発行)
43巻3号(1989年3月発行)
43巻2号(1989年2月発行)
43巻1号(1989年1月発行)
42巻12号(1988年12月発行)
42巻11号(1988年11月発行)
42巻10号(1988年10月発行)
42巻9号(1988年9月発行)
42巻8号(1988年8月発行)
42巻7号(1988年7月発行)
42巻6号(1988年6月発行)
42巻5号(1988年5月発行)
42巻4号(1988年4月発行)
42巻3号(1988年3月発行)
42巻2号(1988年2月発行)
42巻1号(1988年1月発行)
41巻13号(1987年12月発行)
41巻12号(1987年11月発行)
41巻11号(1987年10月発行)
41巻10号(1987年9月発行)
41巻9号(1987年8月発行)
41巻8号(1987年7月発行)
41巻7号(1987年6月発行)
41巻6号(1987年5月発行)
41巻5号(1987年5月発行)
41巻4号(1987年4月発行)
41巻3号(1987年3月発行)
41巻2号(1987年2月発行)
41巻1号(1987年1月発行)
40巻12号(1986年12月発行)
40巻11号(1986年11月発行)
40巻10号(1986年10月発行)
40巻9号(1986年9月発行)
40巻8号(1986年8月発行)
40巻7号(1986年7月発行)
40巻6号(1986年6月発行)
40巻5号(1986年5月発行)
40巻4号(1986年4月発行)
40巻3号(1986年3月発行)
40巻2号(1986年2月発行)
40巻1号(1986年1月発行)
39巻12号(1985年12月発行)
39巻11号(1985年11月発行)
39巻10号(1985年10月発行)
39巻9号(1985年9月発行)
39巻8号(1985年8月発行)
39巻7号(1985年7月発行)
39巻6号(1985年6月発行)
39巻5号(1985年5月発行)
39巻4号(1985年4月発行)
39巻3号(1985年3月発行)
39巻2号(1985年2月発行)
39巻1号(1985年1月発行)
38巻12号(1984年12月発行)
38巻11号(1984年11月発行)
38巻10号(1984年10月発行)
38巻9号(1984年9月発行)
38巻8号(1984年8月発行)
38巻7号(1984年7月発行)
38巻6号(1984年6月発行)
38巻5号(1984年5月発行)
38巻4号(1984年4月発行)
38巻3号(1984年3月発行)
38巻2号(1984年2月発行)
38巻1号(1984年1月発行)
37巻12号(1983年12月発行)
37巻11号(1983年11月発行)
37巻10号(1983年10月発行)
37巻9号(1983年9月発行)
37巻8号(1983年8月発行)
37巻7号(1983年7月発行)
37巻6号(1983年6月発行)
37巻5号(1983年5月発行)
37巻4号(1983年4月発行)
37巻3号(1983年3月発行)
37巻2号(1983年2月発行)
37巻1号(1983年1月発行)
36巻12号(1982年12月発行)
36巻11号(1982年11月発行)
36巻10号(1982年10月発行)
36巻9号(1982年9月発行)
36巻8号(1982年8月発行)
36巻7号(1982年7月発行)
36巻6号(1982年6月発行)
36巻5号(1982年5月発行)
36巻4号(1982年4月発行)
36巻3号(1982年3月発行)
36巻2号(1982年2月発行)
36巻1号(1982年1月発行)
35巻12号(1981年12月発行)
35巻11号(1981年11月発行)
35巻10号(1981年10月発行)
35巻9号(1981年9月発行)
35巻8号(1981年8月発行)
35巻7号(1981年7月発行)
35巻6号(1981年6月発行)
35巻5号(1981年5月発行)
35巻4号(1981年4月発行)
35巻3号(1981年3月発行)
35巻2号(1981年2月発行)
35巻1号(1981年1月発行)
34巻12号(1980年12月発行)
34巻11号(1980年11月発行)
34巻10号(1980年10月発行)
34巻9号(1980年9月発行)
34巻8号(1980年8月発行)
34巻7号(1980年7月発行)
34巻6号(1980年6月発行)
34巻5号(1980年5月発行)
34巻4号(1980年4月発行)
34巻3号(1980年3月発行)
34巻2号(1980年2月発行)
34巻1号(1980年1月発行)
33巻12号(1979年12月発行)
33巻11号(1979年11月発行)
33巻10号(1979年10月発行)
33巻9号(1979年9月発行)
33巻8号(1979年8月発行)
33巻7号(1979年7月発行)
33巻6号(1979年6月発行)
33巻5号(1979年5月発行)
33巻4号(1979年4月発行)
33巻3号(1979年3月発行)
33巻2号(1979年2月発行)
33巻1号(1979年1月発行)
32巻12号(1978年12月発行)
32巻11号(1978年11月発行)
32巻10号(1978年10月発行)
32巻9号(1978年9月発行)
32巻8号(1978年8月発行)
32巻7号(1978年7月発行)
32巻6号(1978年6月発行)
32巻5号(1978年5月発行)
32巻4号(1978年4月発行)
32巻3号(1978年3月発行)
32巻2号(1978年2月発行)
32巻1号(1978年1月発行)
31巻12号(1977年12月発行)
31巻11号(1977年11月発行)
31巻10号(1977年10月発行)
31巻9号(1977年9月発行)
31巻8号(1977年8月発行)
31巻7号(1977年7月発行)
31巻6号(1977年6月発行)
31巻5号(1977年5月発行)
31巻4号(1977年4月発行)
31巻3号(1977年3月発行)
31巻2号(1977年2月発行)
31巻1号(1977年1月発行)
30巻12号(1976年12月発行)
30巻11号(1976年11月発行)
30巻10号(1976年10月発行)
30巻9号(1976年9月発行)
30巻8号(1976年8月発行)
30巻7号(1976年7月発行)
30巻6号(1976年6月発行)
30巻5号(1976年5月発行)
30巻4号(1976年4月発行)
30巻3号(1976年3月発行)
30巻2号(1976年2月発行)
30巻1号(1976年1月発行)
29巻12号(1975年12月発行)
29巻11号(1975年11月発行)
29巻10号(1975年10月発行)
29巻9号(1975年9月発行)
29巻8号(1975年8月発行)
29巻7号(1975年7月発行)
29巻6号(1975年6月発行)
29巻5号(1975年5月発行)
29巻4号(1975年4月発行)
29巻3号(1975年3月発行)
29巻2号(1975年2月発行)
29巻1号(1975年1月発行)
28巻12号(1974年12月発行)
28巻11号(1974年11月発行)
28巻10号(1974年10月発行)
28巻8号(1974年8月発行)
28巻7号(1974年7月発行)
28巻6号(1974年6月発行)
28巻5号(1974年5月発行)
28巻4号(1974年4月発行)
28巻3号(1974年3月発行)
28巻2号(1974年2月発行)
28巻1号(1974年1月発行)
27巻12号(1973年12月発行)
27巻11号(1973年11月発行)
27巻10号(1973年10月発行)
27巻9号(1973年9月発行)
27巻8号(1973年8月発行)
27巻7号(1973年7月発行)
27巻6号(1973年6月発行)
27巻5号(1973年5月発行)
27巻4号(1973年4月発行)
27巻3号(1973年3月発行)
27巻2号(1973年2月発行)
27巻1号(1973年1月発行)
26巻12号(1972年12月発行)
26巻11号(1972年11月発行)
26巻10号(1972年10月発行)
26巻9号(1972年9月発行)
26巻8号(1972年8月発行)
26巻7号(1972年7月発行)
26巻6号(1972年6月発行)
26巻5号(1972年5月発行)
26巻4号(1972年4月発行)
26巻3号(1972年3月発行)
26巻2号(1972年2月発行)
26巻1号(1972年1月発行)
25巻13号(1971年12月発行)
特集 小児の皮膚疾患
25巻12号(1971年12月発行)
25巻11号(1971年11月発行)
25巻10号(1971年10月発行)
25巻9号(1971年9月発行)
25巻8号(1971年8月発行)
25巻7号(1971年7月発行)
特集 基底膜
25巻6号(1971年6月発行)
25巻5号(1971年5月発行)
25巻4号(1971年4月発行)
25巻3号(1971年3月発行)
25巻2号(1971年2月発行)
25巻1号(1971年1月発行)
24巻12号(1970年12月発行)
24巻11号(1970年11月発行)
24巻10号(1970年10月発行)
24巻9号(1970年9月発行)
24巻8号(1970年8月発行)
24巻7号(1970年7月発行)
24巻6号(1970年6月発行)
24巻5号(1970年5月発行)
24巻4号(1970年4月発行)
24巻3号(1970年3月発行)
24巻2号(1970年2月発行)
24巻1号(1970年1月発行)
23巻12号(1969年12月発行)
23巻11号(1969年11月発行)
23巻10号(1969年10月発行)
23巻9号(1969年9月発行)
23巻8号(1969年8月発行)
23巻7号(1969年7月発行)
23巻6号(1969年6月発行)
23巻5号(1969年5月発行)
23巻4号(1969年4月発行)
23巻3号(1969年3月発行)
23巻2号(1969年2月発行)
23巻1号(1969年1月発行)