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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻5号

2007年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2007 Clinical Dermatology 2007 1. 最近話題の皮膚疾患

ATRAによる陰囊潰瘍の1例

著者: 新出真理子1 入澤亮吉1 宮崎香理2 木内章裕2 坪井良治1

所属機関: 1東京医科大学皮膚科学教室 2東京医科大学老年病学講座

ページ範囲:P.17 - P.19

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要約 急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)に対するall trans retinoic acid (ATRA)投与により陰囊潰瘍が発生した症例を報告する.初診時現症では陰囊に激痛を伴う黒色壊死組織が固着した潰瘍を多発性に認めた.病理組織所見としては潰瘍部に出血,壊死,著明な好中球浸潤が認められた.ATRA内服は継続しながら,5日間プレドニゾロン30mg/日を投与し,炎症は軽快し,約2か月で上皮化した.ATRAによる分化誘導療法は,高い完全寛解率によりAPLに対する初回寛解導入療法として定着しているが,白血球増多に伴い,発熱,胸水貯留,呼吸困難などを認めるATRA症候群が出現することがある.ATRA症候群と陰囊潰瘍は一般には異なるものとされているが,合併例もあるため,ATRA症候群の一症状の可能性も否定できない.

参考文献

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10) 後藤英子, 他:臨床血液39: 1169, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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