文献詳細
文献概要
Derm.2007
アトピー性皮膚炎患者でもある皮膚科医の生態
著者: 片桐一元1
所属機関: 1大分大学医学部生体分子構造機能制御講座皮膚科
ページ範囲:P.41 - P.41
文献購入ページに移動 乳児期に発症し,現在も3~4回/週は外用が欠かせない.家内と喧嘩していても,薬を塗って欲しくて頭を下げる.自分で塗るのは大変である.特に夏場は,汗が出てくるので,薬の効果が半減する気がする.増悪因子は,日光,当直(糊のきいたシーツにかぶれる),ストレス,治療で使うDPCP(?)など多彩である.学生の終わり頃から併発した日光過敏のおかげで,いつも日陰ばかり歩いている.それでも,子どもが小さいときには,年に一度くらいは海水浴に出かけた.きっちり2日後に全身にひどい湿疹性病変が出現するため(今も野球をするたびに同じような状況になる),タイミングをはかってリンデロン(R)を6錠内服する.しっかり抑えるには最低5日くらいは内服しないと難しい.早めにやめると,抗原が残っているのか,発症が少しずれた形で皮疹が出現する.しかし,このときは悪いことばかりではない.熱いシャワーを浴びると,天にも昇る良い気持ちである.
また,原因がはっきりしなくても,顔面の皮疹が悪化することはしばしばある.家内に痒いところに薬を塗るように頼むと,自分では頭が痒いと思っていても,本当に悪いところは顔や首,特に耳周囲から前額のようである(顔が痒いと思いたくないらしい).夜中に痒がってうるさいので,マイザー(R)・ヒルドイド(R)mixかデルモベート(R)を外用される(枕元に常備している).私は一瞬躊躇するが,容赦なくべたべたと塗られてしまう(月に3~4日程度).家内は皮疹ではなく私のうるささを目安に,自分が安眠できるために適切な外用薬を選択するのである.strongestのステロイドを塗られるので,時々videomacroscopeで毛細血管拡張を観察する.確かに,結構きている!しかし,痒さには勝てず,また,人前に赤い顔ばかり晒せないので,抵抗しながらも受け入れている.本当はこんな治療法がよいのではないかとの思いも入り交じっている.プロトピック(R)も好んで使う.私のなかでの適応は,日々の皮膚の小修復である.皮膚がしっとりすべすべになり,とても具合がよい.反面,本当に悪化したときに使うと,刺激感がかなりつらく,結局,主治医(家内)に容赦なく,ステロイドを外用されることとなる.そのほか,いらいらすると,耳介あるいは耳介上方の側(後)頭部を激しく掻破する.この現象は,アトピー性皮膚炎の子ども(患者)にも共通のようだが,理由はわからない.このような自分の経験(感覚)と比べながら診療を行うが,難治な患者さんには何が起きているのか,わかりかねることも多い(自分の体に起きていることでもわからないことが多いが).私よりも皮膚炎が起きやすい体質の人が重症になるのであろうと想像するが,自分では意識せずに行っている治療のコツなどを,まだまだ伝え切れていないのかもしれないし,もっと原因に近いところから治療できる方法を見つけなければ,と思う.
また,原因がはっきりしなくても,顔面の皮疹が悪化することはしばしばある.家内に痒いところに薬を塗るように頼むと,自分では頭が痒いと思っていても,本当に悪いところは顔や首,特に耳周囲から前額のようである(顔が痒いと思いたくないらしい).夜中に痒がってうるさいので,マイザー(R)・ヒルドイド(R)mixかデルモベート(R)を外用される(枕元に常備している).私は一瞬躊躇するが,容赦なくべたべたと塗られてしまう(月に3~4日程度).家内は皮疹ではなく私のうるささを目安に,自分が安眠できるために適切な外用薬を選択するのである.strongestのステロイドを塗られるので,時々videomacroscopeで毛細血管拡張を観察する.確かに,結構きている!しかし,痒さには勝てず,また,人前に赤い顔ばかり晒せないので,抵抗しながらも受け入れている.本当はこんな治療法がよいのではないかとの思いも入り交じっている.プロトピック(R)も好んで使う.私のなかでの適応は,日々の皮膚の小修復である.皮膚がしっとりすべすべになり,とても具合がよい.反面,本当に悪化したときに使うと,刺激感がかなりつらく,結局,主治医(家内)に容赦なく,ステロイドを外用されることとなる.そのほか,いらいらすると,耳介あるいは耳介上方の側(後)頭部を激しく掻破する.この現象は,アトピー性皮膚炎の子ども(患者)にも共通のようだが,理由はわからない.このような自分の経験(感覚)と比べながら診療を行うが,難治な患者さんには何が起きているのか,わかりかねることも多い(自分の体に起きていることでもわからないことが多いが).私よりも皮膚炎が起きやすい体質の人が重症になるのであろうと想像するが,自分では意識せずに行っている治療のコツなどを,まだまだ伝え切れていないのかもしれないし,もっと原因に近いところから治療できる方法を見つけなければ,と思う.
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