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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科61巻5号

2007年04月発行

文献概要

Derm.2007

論文の味付はReviewer様々

著者: 久保田由美子1

所属機関: 1福岡大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.160 - P.160

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 学会などで自分の研究成果を自信をもって堂々と発表されている若い先生方や,ライフワークとしての研究生活を喜々として話される先輩先生方を目にするたび,うらやましくもあり自分が情けなくなることしきりですが,自分の能力の範囲内でできることからやっていこうと思う今日この頃です.しかし,自分の能力以上のことには限界があり,特に診断困難例や治療に難渋している例など,身近な人たちで解決できないときは,その道の専門家の先生方の集まる学会などで発表し,お知恵を拝借することにしています.そうすると,自分の考え方は大筋では合っているようだと安心できたり,フロアでも全く相反する意見が出たりして,やっぱりなかなか結論は出ないのだと妙に納得し,また帰って患者さんの皮疹と長くつき合うことになります.そして発表例を論文にするわけですが,何せ結論が出ていないものを論文にしても詰めが甘いわけで,今度はReviewerのお力を借りることになります.現在,RevisedおよびRejectされた原稿を7本ほど抱えていますが,接触皮膚炎などアレルギーの専門のReviewerは実に詳細なコメントを書いて下さるので,大いに勉強になります.学会などで全く反対意見を言われた方に査読が行くと予想通り,剣もほろろにRejectです.特に,定義のあいまいな統一されていないテーマだと実にさまざまな意見をもらい,自分なりに結論を考え何回も提出するのですが,同じ考えのReviewerに当たらない限り延々とwondering paperとなります.しかし,たまにはEditorが興味をもってくださると,こちらが知らない間にスマート化された論文が印刷されており,別刷請求が来て初めて自分の論文が掲載されていたことを知ったこともありました.というわけで,自分の手元にmajor changeの必要な論文や,minor changeでも大幅な書き直しが必要なものがたまりすぎると,自分の考え方がおかしいのではないかと思い,血圧が上がり頻脈にもなるわけです.しかし,ごくたまにですが,診断がついたり,治療方針が決まったりで,安心し満足された表情の患者さんをみると,血圧も下がり脈も正常になります.臨床経験も長くなると,患者さんたちが先生であり,教科書であることがよくわかります.今後もできる範囲で少しずつやっていこうと思っています.まずは再投稿論文を1つずつ片付けていきましょう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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