文献詳細
症例報告
文献概要
要約 症例1:25歳,女性.2歳時に,右下腿に掻痒を伴う角化性結節が出現した.右下腿から外果にかけて爪甲大までの角化性結節が多発し,線状に配列する.skin abrasion,電気焼灼術後ステロイド外用や局注を行ったが,再燃したため,筋膜直上で切除縫合術を行い,その後再燃はない.症例2:35歳,男性.初診の約8年前より左上肢に掻痒を伴う紅色結節が出現した.左拇指球から前腕内側に角化性の結節が多発し,線状に配列する.ビタミンD3軟膏は無効で,ステロイドテープ貼布は一部に有効であった.難治な部位は脂肪織を含め切除した.術後4か月で再燃はない.症例1,2の病理組織像では角質増殖,表皮肥厚があり,症例1では真皮全層,症例2では真皮中層までの血管・付属器周囲性に炎症性細胞浸潤を認めた.炎症性線状疣贅状表皮母斑で,種々の治療に抵抗性の場合には,細胞浸潤のレベルを考慮し,真皮深層ないし皮下組織を含めた外科的切除が治療の選択肢の1つになると考えた.
参考文献
1) Altman J, Mehregan AH: Arch Dermatol104: 385, 1971
2) Unna PG: Histopathologie der Hautkrankheiten, Berlin, p1157, 1894
3) 中谷明美, 他:皮膚臨床30: 1545, 1988
4) Zvulunov A, et al: Arch Dermatol133: 567, 1977
5) Nickoloff BJ: J Clin Invest104: 1161, 1999
6) Nariss M, et al: Lever's Histopathology of the skin 9th ed, Lippincott-Raven, Philadelphia p202, 2005
7) Lee BJ, et al: Ann Plast Surg47: 285, 2001
掲載誌情報