臨床皮膚科61巻6号

2007年05月発行

症例報告

食道癌を合併したBazex症候群の1例

著者： 朴紀央¹ 谷岡未樹¹ 是枝哲¹ 高橋健造¹ 宮地良樹¹

所属機関： ¹京都大学大学院医学研究科皮膚科学教室

ページ範囲：P.433 - P.436

文献概要

要約　70歳，男性．2年ほど前より両側手掌，足蹠の紅斑と肥厚を自覚していた．近医でのステロイド外用薬に不応であった．後天性掌蹠角化症の診断で，全身検索により食道癌が判明した．初診1か月後より鼻，耳介にも過角化性の紅斑を生じ，Bazex症候群と診断した．Bazex症候群では悪性腫瘍を合併するため，掌蹠の過角化が保存的治療に反応しないときは内臓悪性腫瘍も念頭に置いて診療する必要がある．

参考文献

1) Bazex A, et al: Bull Soc Fr Dermatol Syph72: 182, 1965

2) Bazex A, Griffiths A: Br J Dermatol102: 301, 1980

3) Bolognia JL, et al: Medicine70: 269, 1991

4) Murata Y, et al: Arch Dermatol124: 497, 1988

5) 立花隆夫, 他：臨皮38: 841, 1984

6) 長谷川正規, 他：日皮会誌111: 464, 2001

7) 谷川仁子, 他：日皮会誌115: 61, 2005

8) 吉澤順子, 他：臨皮61: 217, 2006