臨床皮膚科61巻9号

2007年08月発行

症例報告

乳幼児期に軽快した非水疱性先天性魚鱗癬様紅皮症の1例

著者： 村田真希¹ 島田由佳¹ 川原繁¹ 奥田則彦²

所属機関： ¹金沢医療センター皮膚科 ²金沢医療センター小児科

ページ範囲：P.687 - P.689

要約　生後0日，男児．出生直後より顔面・手掌を含む全身が潮紅を伴う薄いコロジオン様膜で覆われていた．水疱はなく，毛髪や耳介を含むその他の臓器に異常を認めなかった．病理組織像では，角層，顆粒層がわずかに肥厚し，顆粒変性はなく不全角化もほとんどなかった．生後数時間後より全身の落屑が生じ，日齢14頃までには四肢の鱗屑・軽い潮紅を残す程度に軽快した．1歳時のステロイドスルファターゼ活性は正常であり，特徴的な臨床所見，検査所見より，非水疱性先天性魚鱗癬様紅皮症と診断した．

参考文献

1) Griffiths WAD, et al: Textbook of Dermatology 6th ed, Blackwell Science, Oxford, p1483, 1998

2) 吉池高志, 他：臨皮39: 373, 1985

3) 松倉章子, 他：皮膚41: 343, 1999

4) 渡辺昭洋, 他：東海地方会212: 1003, 2001

5) 高崎靖子, 他：日未熟児新生誌14: 15, 2002

6) 高橋晶子, 他：姫路赤十字誌27: 12, 2003

7) 秋山真志, 他：角化研究17: 70, 2003

8) Raghunath M, et al: J Invest Dermatol120: 224, 2003