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症例報告
左膝に生じたglomangiomaの1例
著者: 川口順啓1 今門純久1
所属機関: 1日本赤十字社医療センター皮膚科
ページ範囲:P.52 - P.54
文献購入ページに移動要約 31歳,男性.初診の2年前より,左膝に皮下結節が出現,徐々に増大し自発痛を伴ってきたため受診した.左膝に8mm大,下床と可動性良好な弾性軟の皮下結節を認めた.外傷の既往はなかった.臨床診断として神経鞘腫,鑑別として皮膚平滑筋腫を考え,切除した.病理組織学的には,真皮深層から皮下組織で比較的境界明瞭な腫瘍塊がみられ,腫瘍細胞巣には拡張した血管腔が多数存在し,その周囲に腫瘍細胞が増殖していた.腫瘍細胞は円形で,異型性はなかった.腫瘍細胞はビメンチン染色,α-SMA染色陽性,デスミン染色,S-100蛋白染色は陰性であった.CD34染色,第Ⅷ因子染色では,腫瘍細胞は陰性で血管内皮細胞のみ染まっていた.以上より,グロムス腫瘍のなかでも血管腔の増生が主でグロムス細胞の増生は著明でないglomangiomaと診断した.グロムス腫瘍が膝に生じることは比較的稀で,1983~2006年まで医学中央雑誌で検索した限りにおいて,自験例を含め20例であった.
参考文献
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